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その七 ページ31

百鬼丸は走る。それを見た沙世とどろろは「兄さん待って!」「付き合うぜ兄貴!」と追いかけた。

「どろろ、また背負う?」
「それはやめてくれ!」

沙世はどろろを背負い、『水流飛沫』で追いかけることを提案したが、嫌がられた。こうして到着したところは崖。百鬼丸は上を見ている。蜘蛛女たちは崖の上の様で、見張り達も違う道で上に向かっていた。流石に崖登りは百鬼丸と沙世も登れない。なので見張り達の後を行くことになった。



到着すると蜘蛛女は元の姿になっていく。足元には矢が刺さりその部分を糸で止血されている男性。見張り達が放った矢が男性に刺さったせいで蜘蛛女は怒り狂ったようだ。蜘蛛女は見張り達を糸で引っ張る。それを見た百鬼丸と沙世は糸を斬った。そしてすかさず蜘蛛女を斬りつける。

ドガッ
「う!!」

ドガ!

「っ!!」

蜘蛛女の攻撃を喰らい、転がる二人。それを見たどろろは慌てて駆け寄る。沙世は「だ、大丈夫」と上半身だけ起き上がり、百鬼丸も手で制する。すると蜘蛛女は男性に近づく。

「この村に医者はいないんだろう? 私がお前を連れて行く…」

男性だけは絶対に守ろうとしていた。その様子に沙世は立ち上がっても刀を構えなかった。一方百鬼丸は構える。蜘蛛女は「……やっぱり、どっちかが死ななきゃならないようだねえ…」と呟く。すると男性が苦しそうに伝えた。

「 殺すのは…、駄目だ…、お萩…、今までも…、これからも…、だろう…?」

男性に言われ、蜘蛛女は落ち着いたのか人の姿になった。それを魂の色でわかった百鬼丸は刀を降ろした。彼らを見逃してくれたのだ。沙世とどろろは笑顔になる。こうして男性と蜘蛛女は去っていく。



手形を門にかけ、村を出る三人。歩いているとどろろは言う。

「人と仲良くする妖がいるなんて世の中わかんねえもんだな」
「これからも色々あると思うけど、あの二人なら大丈夫そうだね」

沙世はお互い大事に思っているため、苦難は乗り越えられると思う。とりあえず一番良かったと思えるのは百鬼丸の耳が戻っていたこと。耳が無かったら問答無用と斬り捨てていたはずだからだ。どろろと沙世もそう思っている。

「かな〜り後味の悪い結果になってたと思うぜ♪」
「百鬼丸兄さんよく我慢できたね」

どろろと沙世は言うが百鬼丸はやっぱり答えてくれない。

「……喋ってくれないね」
「まだ喋る気になんないのかい…」

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作者名:AYAAYA | 作成日時:2019年2月24日 21時

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