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その六 ページ30

「おいらたちの言う事がわかんねえのかよ!?」

その女は人攫いなんだと教えるどろろ。

「この村に行く途中、旅人がそいつに襲われていたんです!」

沙世が必死に男性を説得する。しかし男性は逃げない。驚くことに「人攫いはこの俺だ」と言ったのだ。行方不明事件の犯人は蜘蛛女ではなくこの男性だったのだ。曰く手引きして逃がしたとのこと。更に男性は蜘蛛女をお萩と呼び、見逃してくれとお願いする。

「病にかかって弱っているんだ」
「え?回復するために来たはずなのに!?」

男性の言葉に沙世は驚く。百鬼丸によって傷を負った。だから回復するために村に入ったはずなのに人を攫っていなかったのだ。

「え?え?なんでバケモンを庇うんだよ…!?」

どろろも驚いていると「貴様が逃し屋か!」と騒ぎに気づいた見張り達が現れた。

「見つけたのはオイラ達だぜ! 褒美はもらえるんだろうな〜?」
「そんなモノないわ!密告者を釣る為の方便よ!」

つまりちゃんと見つけても褒美をもらえないのだ。

「え〜!? そんな殺生な〜、やりかたが汚ねえぜ!お前らは悪党だ!」
「だから村人は一つも協力しないの!自業自得だね!」

どろろと沙世が見張り達に言う。

「悪党結構!自業自得上等!これ以上人足が減ったら、俺たちが始末されちまう!その男を捕らえろッ!」

見張り達が襲い掛かって来る。しかし蜘蛛女は糸でグルグル巻きにし、倒れた彼らの首に顔を寄せる。餌である精気を吸っているのだ。

「まずい精気だね」

その様子に沙世は刀を抜き、百鬼丸はどろろに腕を差し出す。つまり抜いてくれと言っているようなもの。どろろは驚きつつも腕を取った。アッサリの抜ける刀。

「見逃しちゃあもらえないようだねえ」

沙世と百鬼丸は走ったがばさっと彼女が被っていた羽織の投げつけられ、その上から糸を巻き付けられた。その隙に蜘蛛女と男性は逃げた。

「おろろ〜あおりおって〜」

多分だが沙世が羽織を取ってほしいがためにどろろを呼んでいる。どろろはあわてて百鬼丸と沙世の元へ近づいた。

「沙世姉ちゃん、兄貴。ちょっとジッとしてて」

どろろに言われた通り、沙世と百鬼丸はジッとする。

ばさ

「ぷは!どろろありがと!助かったよ!」

沙世はお礼を言う。どろろは「いいってことよ」と答えた。

「にしてもあの人が人攫いだとは思わなかったな〜」

沙世の言葉にどろろも同意したのか「ただ働きになるけどどうする?」と百鬼丸に聞いた。

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作者名:AYAAYA | 作成日時:2019年2月24日 21時

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