その二 ページ26
「おい…、大丈夫か? こいつ…、ふざけんのもいい加減にしろよっ」
どろろが男性の容態を確認する。男性はニヤニヤ嬉しそうだった。
「……ほっといても大丈夫だね」
沙世は思わずそう呟いてしまった。その間に百鬼丸は蜘蛛女を斬りつけ、地面に叩きつける。これ以上攻撃をくらうかと糸を出し、百鬼丸を木に縛り付けた。動けなくなったスキを突き、蜘蛛女は急いで逃げる。
「兄貴!」「兄さん!」
どろろと沙世は杖を拾い、百鬼丸の下へ行く。
「「う〜ん」」
ばりばりばりと糸を剥がすどろろと沙世。二人のおかげで百鬼丸も糸から救出された。その後、どろろは「出てきやがれー!!」と蜘蛛女に向かって叫ぶ。当然出てこない。
「あ、兄貴、沙世姉ちゃん。村があるぞ」
「ほんとだ。でも普通の村と変わってるね」
どろろの言う通り村があったのだが、出入り口に柵と見張りがあり、後ろは崖という変わった村だった。取りあえず百鬼丸達はその村へ行くことにした。
「うわ、近づくとまたデカい」
どろろは出入り口の見た目の感想を言う。沙世は「すみませーん!」と見張りを呼ぶことにした。
「なんだ嬢ちゃん。こんな真夜中に」
「私たち旅人です。この村の明かりが見えたので来ました。しばらく滞在させてくれませんか?」
沙世の簡単な説明に見張りは「大変だったな」と言う。
「入るんだったら手続きは必要だな」
「手続きですか?」
「何すんだよ」
どろろの問いに「簡単だよ」と言いながら紙と筆を渡す。
「嬢ちゃんたちの名前と滞在期間を書いてくれ。そしたら手形と交換だ。」
「わかりました。」
沙世が書くことにする。
「滞在は……二、三日ぐらいで良い?」
「いいぜ」
「で、名前。”百鬼丸””と”沙世”、”どろろ”っと」
そう言って沙世は百鬼丸と自分、どろろの名前を書いた。
「へえ〜おいらの名前ってそう書くんか!」
「そうだよー。はい、書けました」
興味津々に覗き込むどろろに笑みを浮かべた後、沙世は紙を見張りに渡した。
「はい、ごくろうさん。これから手形を渡す。この村から出る時は見張りか、あそこにかけてくれ」
そう言って見張りは三人に手形を渡した。これまでの手続きにどろろは「めんどくせえ村だな」とぼやく。見張りはどろろに事情を説明した。
「村を守るために見張りを強めているんでな」
「守るってなにから?」
「なにかあったんですか?」
どろろと沙世の問いに見張りは答える。
「人攫いが出るのさ」
「「人攫い!?」」
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作者名:AYAAYA | 作成日時:2019年2月24日 21時