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その五 ページ18

「お手伝い?」
「兄貴を休ませてくれるし、芋がゆだけどメシも用意してくれた!飯代ぐらい働くのが筋ってもんだからな!」

その説明に沙世は納得した。

「そっかー。皆にお礼をしたいんだね。」
「だからメシ代だけ働くんだって」

素直でない。

「わかった。百鬼丸兄さんの事は私にまかせて行っておいで」
「うん!頼んだ!」

そう言ってどろろはタケの元へ行った。そんな2人の様子に坊さんは言う。

「傍から見れば姉弟に見えるなあ」
「私、二人も兄弟子が居るんですけど弟弟子や妹弟子がいなかったので。だからどろろをいも…弟の様に接しちゃうんですよね」

沙世は笑いながら百鬼丸の額に乗せた手ぬぐいをとり、水で冷やす。

「それじゃああたしは行くとするか」
「え?行くって」

坊さんの言葉に固まる沙世。坊さんは説明する。

「戦場を避ける道を探してくる。戻らなかったら獣道でも見つけたと思ってくれ」
「は、はい」

こうして坊さんは去っていった。

「自由な人だなー」

そう呟いていたら、クイクイと袖が引っ張られる。「え?」と思い、そこを見ると百鬼丸が目を覚ました。熱のせいでぼーっとしているが確かに起きている。

「兄さん!起きた…あ、あぶないあぶない。」

沙世は慌てて小さい声にする。百鬼丸は気にせず、「ここはどこなんだ?」と言う風な様子で周りを見ていた。それを見て沙世は教える。

「川であった女の人…ミオさんが戦災孤児たちと暮らしている廃寺だよ。しばらくここに居て良いって。熱は……やっぱりまだまだ熱いね。手ぬぐいを置くから」

そう言って沙世は水をしぼった手ぬぐいを額に乗せる。冷たい感覚に百鬼丸は目を見開いた。

「これが冷たいだよ。そうだ。どろろすごく心配してたよ。」

沙世がどろろのことを教えていた時だ。

「ああ!!兄貴起きてくれたんだ!?」
「Σ(゚Д゚)」
「どろろ、しー…」
「あ、ごめん」

どろろの喜びの声に驚く百鬼丸であった。

〜夕方〜

まだ熱はある方だが朝よりは落ち着いている百鬼丸。傍には沙世が居て、どろろは元気に廊下の雑巾がけをする。直後に思いっきりずっこけたが……。笑う子供たち。するとミオが子供たちに注意しながら現れた。彼女は賃金が良い夜に働きに行く。そのため昼間は寝ているそうだ。

「ミオさん」
「沙世ちゃん。百鬼丸、具合はどう?」

仕事に行く前に百鬼丸の様子を見に来てくれた。

「……朝よりは落ち着いているんですけど」
「ホント…まだ熱い。」

やっぱり熱かった。

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作者名:AYAAYA | 作成日時:2019年2月24日 21時

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