その八 ページ40
「う〜ん。あ、兄さん!これ被って!」
「むぐ!?」
そう言って被せたのは沙世が髪飾りの様につけている狐のお面。彼女の師匠は嗅覚が鋭く、そしてなぜかいつも天狗のお面を被っているので真似てみた。すると百鬼丸はおとなしくなる。
「百鬼丸兄さん。大丈夫?」
沙世の問いに百鬼丸は頷いた。
*
百鬼丸達は歩く。
「はあ〜〜〜〜〜〜〜……」
「あー…どろろ。さるくんの場合は仕方がないと言うか」
どろろの手には報酬の砂金がなぜか一粒。いったいどうして一粒なのかと言うと野生児であるさるが硫黄と砂金は同じものと勘違いしていて、さらには砂金はあれ一個しかないとあっさりと言った。なので落ち込む。一方、百鬼丸の手には可愛らしい花があった。これはお梅からのお礼だった。ちなみに二人はこれからは一緒に暮らそうと決めたのだ。そのさい、お梅はちゃんとした名前をさるに送ろうとしたが「さるでいい」と拒否。「名前は大事なんだから」とお梅が言うと「なんだか本当の姉ちゃんみてえだなぁ」と言った。笑い合う二人は幸せになるだろう。その様子を思い出したどろろは「ま、いっか」と言う。百鬼丸はその花を嗅いでいた。沙世の提案で、少し貸しているのだ。するとだ。
「ど…ろ、ろ。 さ…よ …」
そう言って百鬼丸は花を差し出した。
「兄貴、これは匂いってんだよ」
「お花はいい匂いでしょ?」
どろろと沙世が言っていると二人は止まった。
「今、オイラの事どろろって…」
「私の事も沙世って」
初めて二人の名前を呼んでくれたのだ。
「初めてだ…、名前呼ばれたの……!」「うん!下手だけど呼んでくれた!」
先に進む百鬼丸。どろろと沙世は嬉しそうに追いかける。
「兄貴ー! 待ってくれよっ! オイラの名前、良い名前だろ〜♪」
「百鬼丸兄さん!待ってー!」
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作者名:AYAAYA | 作成日時:2019年2月24日 21時