万代の巻 ページ3
謎の青年のそばをどろろと沙世は歩いている。どろろは青年に興味を持って付いて行っているのだ。ちなみに沙世は目的のある旅ではないのでどろろに「ならいっしょに行こう!」と誘われていた。
するとどろろは両腕を広げて青年の通せんぼする。しかし青年はあっさりとよけた。
「やっぱ見えてる!どう考えても見えてるって!なあ沙世姉ちゃん!見えてるよな!?」
「うーん。見えない人って感覚が鋭いの。話に聞いた通りだったらできそうだな」
「えー」
沙世は見えていないほうだ。感覚が鋭いなら先ほどのよけかたができるのは納得できる。
実際、沙世の師匠のかつての同僚は盲目だが聴覚、嗅覚、触覚などの感覚で周りを認識し、戦っていたと聞かされていた。それでも納得できないどろろは青年に「いつもああやってバケモノ退治してんのか?」と聞く。青年が落としたお面のことなどを話していたら、青年はとなりの茂みを広げた。
「あ、木苺」
どうやら彼はおなかを空かせたのか木苺をぱくぱく食べ始めた。
「もう…完全に見えてるだろ?それ〜…ほら姉ちゃんも!」
「ありがと。…うん、おいし」
どろろと沙世は青年の隣に立ち、木苺を食べ始める。どろろが不満気に「話したくねえのか?」と聞いたら腕の刀を抜いた。
「まった!お兄さん!」
「わあ!?ごめん、しつこ過ぎた!」
慌てる沙世とどろろだが青年はさらに奥へ進む。そこは川だった。青年は川に入ると刀を構える。
そして泳いでる魚を突き刺した。どんどん突き刺して魚を捕らえる青年。どろろは思わず「すげー」と、沙世は「お兄さんすごい!」と言ってしまう。
「沙世姉ちゃんはできるのか!?」
「できるけど師匠から魚取りに刀を使ってはいかん!って言われてるんだ。ごめんね。素手はできるけど」
そう言って川に入った沙世は実際に素手で捕らえた。どろろは「それでもすげえよ!」と褒める。
青年が三匹目を取った時だ。青年は刀に突き刺したまま、生で食べようとしたのだ。その様子に沙世とどろろは慌てる。まさか生で食べようとするとは…とりあえずどろろは青年と沙世が取った魚を焼き始めた。しばらくて…
「ほーら美味そうな匂いしてきただろ?」
魚が焼けた。どろろの言う通り、美味しそうな匂いが広がる。
「塩があると良いんだが…ま、しょうがねぇ。ほらよ!」
「!?」
焼き魚を出された青年は驚く。
「あ、どろろ。そのままじゃ お兄さんの舌やけどしちゃうよ。ちょっと貸して」
「うん」
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作者名:AYAAYA | 作成日時:2019年2月24日 21時