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霜月 その一 ページ10

肌寒いある日、大通連の首には水色のマフラーが巻いてあった。
温かいぬくもりにご機嫌そう。
「あ、兄様も貰ったんですか?」
「やはり、お前たちも貰ったのか?」

「はい!霜月に…」

***

これは大分寒くなってきた霜月の頃…

「うー…寒い」
「それじゃあ、手合わせでもやる?」

清光は震える。そんな彼に小通連が提案する。

「いいねーそれ」

運動すれば暖かくなる。清光と小通連は稽古場へ行った。



「そーれ!」
「どおりゃああ!」

稽古場へ着くと今剣と岩融が楽しそうに手合わせをしていた。
「今剣くん!岩融さん!」
「俺たちも手合わせに入れてくれる?」
小通連と清光の問いに今剣と岩融は「いいですよー!」「やろう!」と答えた。
こうして四振りは手合わせをしていると藤四郎兄弟の一振り、信濃が現れた。
「失礼します」
「あれ?信濃くん」
「信濃さん!いっしょにてあわせしませんか?」

今剣のお誘いに頭を掻きながら「手合わせもいいんだけど……」という。
なにかあったのか?いったん手合わせをやめ、事情を聞く。

「なるほど。主の懐の代わりを探しているのだな」

実は信濃は寒いあまり、主の懐に入って温まりたいと思っていた。しかし当然、人の姿である
今は無理、なので先ほど岩融が言った通り、主の懐に代わるものを探していたのだ。
其の話に清光は「主の懐に入りたいなんて贅沢な」と呟いてしまう。
すると岩融が「それなら簡単だ!」と言った。
「主と同じとはいかないが……」
鼻を軽くこするとバッと両腕を広げる。そしてガシ!と抱きしめた。

「俺が胸を貸してやろう!!」
「「「Σえ!?」」」

その行動に小通連達は驚いた。信濃も最初は驚いたがだんだんと瞼が落ちていく。
その様子に今剣は興味津々。

「ははは!どーだ?」
(く…苦しい)

だんだん息ができなくなってきたのか青ざめ、岩融の肩をバンバンと叩くが気づいていない。
するとその様子がなぜか楽しそうに見えた今剣は
「ばくもなかまにいれてくださーい!」と信濃に抱きついた。
当然止めを刺された信濃は撃沈した。
***

「哀れだ」
「はい。私が今剣君を離したおかげでなんとか復活しました」

其の後、小通連が抱きしめ、頭を撫でてやったら今剣はごきげんになった。

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作者名:AYA | 作成日時:2018年3月10日 19時

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