如月 その四 ページ9
(どんな苦境でも屈しない強さ)
そう思いながら滝行を始めた清光。滝の水を浴びる彼に小通連は見守る。
「えやああぁぁぁ!!」
そう言って山伏は丸太を投げる。
(どんな……苦境でも……)やっぱ無理ぃ!!」
そう言って清光は逃げた。丸太を投げられてはさすがに逃げてしまう。無理もない。
「う――…カッコ悪い」
「流石に丸太を投げられたら避けるよ」
頭を拭きながら呟く清光。小通連は優しく言った。
山伏と数珠丸は食材探し、同田貫と青江は火を起していた。
「ほら、ちゃんと拭かないと」
「わ!」
そう言ってタオルを奪い、頭を拭いてやる。
「そういえば千鶴様もこうして沖田さんの頭を拭いてたなー」
「え?そうなの」
池田屋で折れたため、清光はその後の沖田の事に興味を示す。
「うん。あの人、頭をちゃんと拭いていないのに縁側に座っていてね。
千鶴様にこうして頭拭かれてたんだよ」
「へえー」
「はい!拭けたから髪すくよ。」
「うん」
今度は櫛で髪を綺麗に整え、紐でいつものようにまとめた。
すると「くしゅっ！」とクシャミをする清光。滝行をやり、今は夕方なので寒いのは無理もない。
そんな清光に青江が「温めておいたよ」とお気に入りの金の刀装を差し出す。
「いや大丈夫」
当然要らない。すると山菜とキノコを採ってきた山伏と数珠丸が戻ってきた。
「腹が減っては戦も修行もできん!そろそろ食事にしようぞ!!」
採ってきてくれた山菜類を受け取り、小通連と青江は料理を始める。
寒がっているので温かい山菜おじやだ。
山伏、数珠丸は仏道の事を話し、同田貫はダンベルを持ち上げながら
「俺たちは武器なんだから強さを手に入れればいいんだよ」といつも通りだ。
その言葉に清光は考える。
「さあ、おじやを食べようか」
「皆さん熱いから気を付けて食べてくださいね」
そう言って青江と小通連は出来立てのおじやを器に入れ、清光達に配り始めた。
食事を終えた一同。火の後始末を終え、帰ろうとした時。
数珠丸は「また共に修行をさせてもよいでしょうか?」と山伏に問う。
この修行で何かを感じ取ったようだ。
「無論!!」
山伏はそれを察したのか快諾する。そして2人がガシっと握手した。
「……友情が芽生えたね」
「は…はは」
小通連がそう言い、清光がドン引きする。
「さて、腹も膨れたところで……本丸まで走ろうぞ!!」
「へ?」「え?」
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作者名：AYA | 作成日時：2018年1月8日 19時
