鬼一族の小太刀と太刀。 (ページ3)

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睦月　その三ページ3

「おや?沢山いるね」
『?』
小通連達は声がした方を向く。白いジャージを着た刀剣と黒いジャージを着た刀剣。
髪の色は違うが目がそっくり。兄弟刀の様だ。
すると黒いジャージの刀剣が「勝手に動き回っては」と注意しようとする。
兄者と言ったのは彼の様だ。
「新入りか?」
その問いに白いジャージの刀剣は「源氏の重宝、髭切さ」と答える。
「そっちは弟の……えーと…」
「名前を憶えてくれ兄者!!俺も同じく源氏の重宝、膝丸だ」
髭切と膝丸は仲が悪いのか?そう思ったのか陸奥守は「弟の名前覚えとらんのか」と聞くと
「僕は名前というものに頓着が無くてねー」
「ま、まさか仲が…「けして仲が悪いわけでもないぞ!!」
恐る恐る聞く小通連に膝丸は慌てて遮る。
髭切は罪人で試し斬りした際、髭まで切ったことから髭切。膝丸は膝まで切ったから
膝丸と名付けられたそうだ。
「だが…」
妖を斬ったり、持ち主が改名したから名前をいくつも変えてきたらしい。
そのせいで髭切は名前に頓着を持たなくなったようだ。
「今はどんな名前だっけ?」
「俺は膝丸だ。ひ！ざ！ま！る！」
＊＊＊
「兄者―！」
「なんだい肘丸」
「だから俺は膝丸だ!!」
遠くでは髭切に懸命に名前を憶えさせようとがんばる膝丸の声が聞こえる。
「………まだ覚えていないな」
「………良い方なんですけど」
そう…。髭切は良い人なのだが名前を覚えないのが残念だった。
「それでその後はどうなったんだ?」
「獅子王くんが現れて自己紹介したんです。『俺はじっちゃん！源頼政の刀だった獅子王だ！』て。
髭切さんは人ではない鵺を斬ったから興味津々で…そしたら山姥切さんが来て…」
小通連は続きを話し始める。
＊＊＊
山姥切は清光に主からの命を言う。
「今後、本丸にやって来る新しい刀剣男士達の世話係をお前に任せる」
「え?俺が?」
清光は自らを指さして聞くのだった。

＊
本丸はお正月に向けて準備をする。杵や臼を運んだり、おみくじを作ったり、みんな頑張っていた。
「んー。黒豆を煮るのは３、4時間くらいか。けっこう長いんだ。」
小通連は縁側に座り、レモンページと書かれた料理雑誌を読んで正月料理の勉強をする。
すると
「ん?小通連。何読んでるの」
「清光君!髭切さんと膝丸さんも」
清光と髭切、膝丸が来た。