旦那vs息子【呪術廻戦】

きゅう ページ9

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「……、、……？？」







俺が答えると、案の定少しの間の後にガキとは思えないほど眉間に皺を寄せて俺の事を凝視してきた。

…なんだコイツ。人がせっかく親切に答えてやってんのによ。







「なんだよ」

「大好きだけじゃ結婚できないの…？！」

「誰がんな事言ったんだよ」

「父さん」

「言ってねーよ」

「ｳﾌﾞｯ」







手のひらで水を軽く掬い恵の顔にかける。
…多少の罪悪感はあるので、慌てて自分で顔をゴシゴシと手で拭く上から拭ってやる。

後からAにチクられるのが何気に一番キツい。

十分に拭き終わった後、一回軽く睨まれた後また質問を投げられた。







「じゃあ、…なんで父さんは母さんと結婚したの」

「………………」







ガキが娘なら、いつか言うんだろうなと考えていた。女はこういう色恋の話が大好物だからな。
だが、コイツは男だからといって産まれてすぐに選択肢を潰した過去の俺をぶん殴りてぇ。

言うつもりはねぇと恵を見るも、恵も食い下がって俺をひたすらに見てくる。

…コイツのこーゆー変に頑固で意固地な所は完全にA似だな。Aなら可愛く見えるトコも恵になると話は違ってくる。オマエ、大前提に息子である前に男だからな。オイ。







「……大好きかどうかより大事なもんがあんだよ」

「…だいじ」







さっきまでの威勢から一転、俺の言葉を珍しく素直に聞く。
……顔だけは真面目に俺に似やがって。







「ソイツのことを、自分の命に変えても護りてぇと思えるかどうか」







特に見る所がなく天井を見つめる中、脳内に浮かぶのは今までのAの顔。笑った顔、困った顔、怒った顔、…泣いた顔。
それでもより鮮明に思い出されるのは、あの日。







「…結婚するか」

『……………………え、』







大々的に言うつもりは毛頭なかった俺が、テレビを見ながら呟いた言葉。思ったよりも部屋に残響が残った。
そしてそれから数秒、無言の時間が流れた後。Aは、泣きながら笑った。







「俺なんか」







何度Aの前で言っただろう。その度に責められ、泣かれ、訂正され。この言葉が当たり前だった俺は、いつしか口にする事は無くなった。
Aは強い女だ。自分のことで泣くやつじゃない。

Aが泣くのは、決まって俺の事だった。




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