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11-想像以上 ページ32

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𝑆𝑎𝑡𝑜𝑟𝑢-𝑠𝑖𝑑𝑒









『いつ来るかな』


「もうそろそろ来るんじゃない?」









Aが傑と来た時は必ず寄るというカフェに入り、傑を待つ。


傑がここに来るように、色々とAに作戦を実行してもらった。




事前に言わずに、偶然を装って出かける寸前に伝える事。


友達、とだけ伝えて誰と行くかは言わないで出かける事。


この他にも結構あるけど、Aはしっかりと言われた通りできたらしい。


流石Aだね。




これで、あとは傑がこの店に入ってくれるのを願うだけ。


まだかなぁー、と考えていると。




僕の視界の左端に、傑が写った。









「A、来たよ」


『え、ほんとに来たんだ!』


「今のところ僕たちには気付いてないっぽいかな」









それから、いかにもカップルらしいような会話をしながら傑が僕たちに気付くのを待つ。


すると、店内を見渡した後僕たちの方へ顔を向けたまま停止した。




......気付いたな。




気づいた事をAにさりげなく伝える。


そこからもいつも通り楽しく会話を続けていた。




......でも、これだけで終わるなんて勿体無いよね。


僕の中の悪戯センサーがうるさいんだよ。









「あ、A。

 ほっぺにクリームついてる」


『え、取って』









本気でついてると思ったのか、Aは顔を前に出してきた。


それに合わせて僕も顔を前に出す。


そのまま手をAの頬に当てて取る真似をする。









「んー、取れない」


『早く取って』









そして僕は取れないのを装い、いかにもキスをしているような体勢になるようにして取ったフリをした。


ちゃんと、傑が見ていたのも確認しながら。









「はい、取れたよ」


『ありがと〜』









すると、さっき来たばっかりの傑が早足で店を出た。









「あ、傑帰っちゃったよ」


『え、嘘!

 私も帰るね!』


「頑張って」


『?』









この後起きるであろう事態に思わず笑みが溢れる。









「28歳男女の青春。

 はは、笑っちゃうね」









......ちょーっとやりすぎちゃったかな。


ま、いいや。


傑には明日蕎麦でも奢ろう。




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作者名:しゃけむすび | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年12月24日 5時

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