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9-ごめん※ ページ21

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𝑌𝑜𝑢-𝑠𝑖𝑑𝑒









部屋に閉じこもって、数日が過ぎた。


毎日、硝子と悟が来てくれるけど。


もう、部屋のドアを開ける気力すら無い。




私にとって、傑の存在がどれだけ大きかったのか。


痛いほどわかって、尚更私を苦しめる。




今日もいつもと同じようにベッドに座り込む。


その状態のまま、小さな写真立てを持ちじっと眺める。




そこに映るのは、2年の初夏に2人で遊びに行った時の写真。


嫌になるくらい、私も傑も笑顔で。









『......なんで.........』









数日前は、こんな事になるなんて思ってもいなかった。


普通に授業を受けて。


普通に訓練して。


普通に任務に行って。




普通が、どれだけ凄い事か。


もう、十分わかってたはずなのにな。




ふと部屋を見渡すと。


そこら中に傑との記憶がある。




初めてのデートの時に着て行った服。


お揃いで買ったストラップ。


強制で貰った賞味期限切れのお菓子。


今年の私の誕生日にくれた、色違いでお互いのイニシャルが入っている指輪。




もう、片方は部屋に置き去りなんだろうな。




もう一度膝を抱えて蹲ったその時。


携帯の着信音が鳴り、ゆっくりと見ると。


相手は硝子だった。




出る気にもならず、そのままにするも鳴り止まない音楽。


......この音楽も、傑が好きだって言ってたバンドの曲だった。




仕方なく携帯を手に取り、折り畳んでいたものを開けて電話に出る。









『もしも、』


「A!

 夏油いる!!」


『、!』









もしもしも言わないほど焦っている硝子から出た言葉は。


最愛の人の名前だった。




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作者名:しゃけむすび | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年12月24日 5時

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