シンメトリー (ページ16)

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2－4 いつものページ16

Fuma side

自販機をようやく見つけ、好きなオレンジジュースを買う。

最近色んなやつに絡まれてるから、あの日以来、中島のところにも行けてないな。

明らかに中島不足だ。

中島が足りない。

追っ手がくるのが落ち着いたら行くか。

そう思っていたのも束の間、校門のところに明らかにやばそうなやつがいる。

今日もかよ…。

思わず大きなため息をついた。

方向転換し、この間見つけた裏口から学校を出る。

幸いこちらには誰もいない。

久しぶりにあそこに行くか。

軽い足取りで向かった。

"SexyZone"

過激な名前の看板にももう慣れてしまった。

綺麗なドアを開けて、中に入る。

「いらっしゃいませー！あっ風磨くん！！」

『よお。久しぶりだな。』

俺よりも年下なのに、また一層大人びた雰囲気のマリウス。

だけど、いつもどおりの可愛い笑顔で出迎えてくれた。

「本当だよ！転校してから来てないでしょ？聡ちゃん寂しがってたよ！」

しゅんってしている松島は容易に想像できる。

「ご注文は？」

『いつもの。』

「そう言うと思ったー。ちょっとまってて！」

マリウスはまだ15歳なのに、俺ら4人の溜まり場にもなりつつある喫茶店"SexyZone"の経営者だ。

ここに足繁く通っている俺の注文はいつも一緒。

「おまたせー。」

マリウスが持ってきたのは、ブラックコーヒー。

マリウスが淹れるコーヒーは恐らく、どこのコーヒーよりも美味しい。

久しぶりの味に口付けて一息つく。

『アイツら、元気にしてる？』

なんとなく聞いてみた。

「んー、どうだろ？勝利くんは暴れる人が多くて困るって言ってたよ。そして聡ちゃんは料理頑張ってる！この前パスタ食べたけど美味しかったよ！」

まぁそりゃ、松島に料理教えたのは俺だからな。

「健人くんはやっぱり元気ないよ。」

返ってきた言葉は予想通りだったが、罪悪感が押し寄せてくる。

「でもね、頑張ってるよ。」

『え？』

マリウスの言葉に思わず聞き返した。

「必死に前を向こうとしてるの。受け止めようとしてるの。頑張ってるんだよ、健人くん。」

前を向こうとしてる…。

「それに頑張ってるのは聡ちゃんと勝利くんもだよ！みんな頑張ってる！！」

目をキラキラ輝かせ、まるで自慢しているかのようなテンションだ。

そんなマリウスをみてると嬉しく思う反面、寂しい気もしてきた。

今のあいつらは、俺の知らないあいつらだ。