シンメトリー (ページ11)

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1－9 最強の音色ページ11

Fuma side

着いた。

でっかい豪邸。

持ってる合鍵でドアを開ける。

するとすぐに、いつもの音色が聞こえてくる。

中へ入ると、見慣れたものが目に入る。

世間では珍しい、白いグランドピアノ。

それに身を任せ、感情のままに弾いていく中島。

『………これだよな。やっぱ。』

集中しているのか、つい口に出してしまった独り言も、聞こえていないようだ。

俺はゆっくり近づいて、中島の後ろに周り、ピアノ椅子の端の方に座る。

そして、中島の背中にもたれかかれば、
風磨！？と驚いて振り返る中島。

『続けてよ。』

「えっ？」

俺は振り返らずに話しかける。

『ピアノ、まだ聴かせてよ。』

「……じゃあ、一緒に歌って。」

中島の言葉に振り返る。

でも、中島はピアノに視線を戻していた。

すると心に染み込んでいるメロディが流れ出す。

あれからどのくらい経っただろう。

「悪い夢見た朝はすぐ僕に話してよ」

まだ幼さが残るくらいの俺ら。

夢中で歌詞を、メロディを、ただひたすらにノートに紡ぎ続けたこの曲。

「ほつれてる糸の端つまんでほどいてあげるから」

やっぱ、中島には敵わねぇな。

『たとえばこの胸に窓があれば』

言葉なんかなくたって、伝わるよな。

『すぐに開けて見せたいくらいさ』

中島の想いが、そして俺の想いが、背中越しに伝わりあっていく。

『「運命よりも近くて奇跡よりも確かな
名前のないそんな想いが僕らを繋いでる」』

中島の流れるようなピアノの音色に合わせて
俺はただ、歌うだけ。

『「誰よりそばにいるからそれだけは忘れないで」』

こうしているだけなのに、俺らは無敵だって思えてくる。

『「小さな痛みさえ分け合うことが僕の願い」』

やっぱ、お前は最強だよ。