1−1 初日の憂鬱 ページ3
Fuma side
『違う!中島は俺が巻き込みました!』
「それなりの刑罰を受ける覚悟は出来てるんでしょうね?」
『中島には、何もしないでください!俺が全部責任をとります!』
「菊池くん。じゃあ君には______」
◆◇◆◇◆◇◆
『着いた……。』
目の前にはいつもの校門や校舎はなく、予想よりかは綺麗な校舎が目に入る。
ここは梶木高校、俺が新しく通うことになった高校だ。
"「菊池くん。じゃあ君には、転校してもらおう。」"
前の学校で色々あって、転校を告げられた。
よって、2年の5月という変なタイミングの転校になってしまった。
『テンション上がんねー…。』
不本意な転校だってのに、テンションが上がる訳がない。
しかもこの学校は不良クラスがある。
そしてその不良クラスに入ることになってしまった。
確かに前の学校じゃ不良の部類だったかもしれないけど、こんなガチの不良クラスになんて行きたくねぇよ。
でも、来てしまったものは仕方ない。
俺はポケットからスマホを取り出し、メッセージアプリを開く。
〈頑張って。〉
今朝送られてきた、俺の相棒からのエール。
転校のことを告げたとき、こいつは綺麗な顔を歪ませて、涙を堪えていた。
そして、「そっか。」と苦しそうに笑って呟いた。
そんな顔すんなよ、なんて言えなかった。
俺のせいでそんな顔をさせてしまったから。
あいつには、顔をくしゃとさせて弾けるような顔で笑っていてほしいのに。
昨日は用事があって家には行けてないから、今日は行くか。
待ってろよ、相棒。
腹を括って俺は、新しい学校へと踏み出した。
◆◇◆◇◆◇◆
Kento side
春も残りわずかとなった5月。
肌寒い風を浴びながら、俺は一人きりで歩いている。
もう暖かいはずなのに…、君がいないだけでこれほどまで変わってしまうのか。
"「俺、転校することになったわ。」"
まるで、明日釣りに行くみたいな調子で告げられた、相棒との別れ。
母親同士が仲が良く、生まれたときからずっと隣にいた俺たち。
なのに、なんで……?
なんで風磨は、転校するの?
いくら考えても分からない問題、そんなの本人に聞けば分かるのに。
それが出来ない俺は、なんで躊躇っているのだろう。
自分のことも分からないやつが、他人の事が分かるわけがないよな。
気持ちを入れ替えようと息を吸う。
でも気持ちは晴れない。
君のいない日々なんて、ない方がマシだ。
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りろ - めちゃめちゃこういうの好きなんです!もし時間があったら続きをお願いします! (2023年1月28日 0時) (レス) id: 86d36c49a2 (このIDを非表示/違反報告)
もな - 更新待ってます! (2021年8月7日 1時) (レス) id: 86d36c49a2 (このIDを非表示/違反報告)
yukine(プロフ) - 更新頑張って下さい! (2020年7月19日 12時) (レス) id: ab5d36ad85 (このIDを非表示/違反報告)
沙耶佳(プロフ) - これからも楽しみにしてます。 (2020年2月10日 20時) (レス) id: 77dbf9668b (このIDを非表示/違反報告)
M - 最新待ってます (2020年2月7日 19時) (レス) id: 8e4485d92c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彩綾 | 作成日時:2020年1月20日 20時