07. あの人と：清水潔子 ページ7
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「これで最後ですね」
「うん、今日もお疲れ」
部活終了後ボールやネットを片付け、汗で色が変わっているビブスを洗濯機に投げ込み、飲み終わった水筒をグラウンドに面した水道でジャブジャブ洗う。
陽も長くなり、まだ部活をしている活気に満ちた声と水筒を洗う水の音が心地よく鼓膜に響く。
最後の1本を洗ってカゴに直し、隣で洗っていた潔子さんを視線を移すとグラウンドで列を成して走っている陸上部を眺めていた。
「潔子さん、陸上部だったんですよね？」
「うん、ハードルね」
「また走りたいな、とか思いますか？」
見つめていた先から少し視線を上げ「ん〜」と考えた後、私の方を向いて「今は特に思わないかな」と返してくれた。
「よかった〜！実はまだちょっと…とかの流れから陸上部に転部されたらどうしようかと思って。安心しました」
「あははっ、それはないから安心して。それに3年生の今から転部する勇気はない」
「妄想が暴走しました…」
「…ただね、ああやって走ってる姿を見たりするとあんな時があったなーって少し懐かしくなるんだ」
そう言い終わってから再びグラウンドに視線を向けた潔子さんにつられるように眺めていると「Aは…」とふいに名前を呼ばれ首を動かす。
「Aはバレーする側に興味はなかったの？」
「へ？」
「この前日向のスパイク、Aパスで返してたでしょ？」
「み、見られて…」
「部活前だったし、みんな見てた」
今度は質問を受ける側になり「ん〜」と一応考えてはみるものの答えは決まっていた。
「ないですね！中学でもマネだったから高校でもその流れでみたいなところはあるけど、何だかんだ好きなんだと思います。マネージャー」
「そっか、変なこと聞いてゴメンね」
「いえいえ！それに…」
風でなびく髪を左手で押さえ、まだ何か続きそうな語尾にこちらを見ている潔子さんへ言葉を紡ぐ。
「それに…今はバレー部のみんなを支えることに夢中なんです！」
支えられてることの方が多い気もするけど…と視線を反らしながらゴニョニョと小さくなる声が消えきったところで「ふっ」と空気の漏れる音に視線を上げれば
「ふふっ、私も」
夕陽に照らされながらニッと笑う潔子さんは、今日も最上級に美しかった。
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『縁の下のマネちゃんズ』
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「潔子さん！じゃがりことジャガビーどっちにします？」
「…半分こしない？」
「喜んで！」
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作者名：華うさ | 作成日時：2024年3月2日 15時
