03. あの人と：月島蛍・山口忠 ページ3
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「…っつ」
「あ、もしかしてツッキー突き指した？」
ほれほれ早く指を出しなさいという無言の圧を座るよう促す仕草で示せば、渋々といった様子で指示した場所に腰を下ろすツッキー。
「別にテーピングぐらい自分で出来ますけど」
「あ、私のテーピング技術を知らんね？」
おじいちゃんが整骨院をやっていることもあり、バレーに携わり始めた中学生の頃からテーピングの巻き方や簡単なマッサージなどを教えてもらい、みんなからの評判も良くこの点だけは唯一の特技だと誇っている。
ツッキーの手を取り、慣れた手つきでテーピングを施し「どう？痛む？」と聞いてみれば「…すご」と静かに驚いてくれた様子に大丈夫なんだろうと救急箱を閉めた。
「あれ？ツッキーどうしたの？突き指？」
ボールを拾いに来た山口が私たちに近付き「大丈夫？」と声をかけるも「大袈裟デショ」と相変わらずの塩対応で一撃粉砕。
「俺もこの前やってもらったけど、滝さんのテーピング本当にスゴいよね」
「もう山口ったら…いつでも突き指して！」
「や、それはちょっと…」
嫌です…と困り顔で返事をする山口と私とのやり取りを終始冷めた目で眺めていたツッキーに「あっ」と顔を向ける。
「ツッキーの手、すごく大きいよね？」
「は？別に普通で…って、ちょっ」
ツッキーがまた何かひねくれたことを言い始めたソレを無視し、突き指していない方の手を取り自分の掌にピタッと重ね合わす。
「ほら見て、この違い！テーピング巻いてた時に思ったんだよね〜」
旭さんの次ぐらいかな…とブツブツ言いながらその骨格に夢中で変態かの如くニギニギしていると、パッと勢いよく視界から掌が消える。
「わ！ごめんツッキー！つい夢中で…って、ツッキー？」
「………」
横を向いたままコチラを見ようとはせず、ただ心なしか、本当に心なしか、そっぽを向いたままの頬が赤くなっているような気がして
「もしかしてツッキー…照れてる？」
「照れてません」
「ちょ、山口見て見て！ツッキーが照れてる！超レア！」
「え、ツッキー照れてるの？」
「山口うるさい」
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『口では勝てない2人』
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「ツッキーも可愛いとこあるんだね〜」
「滝さん、『顔面詐欺』って呼ばれてるんですよね？」
「は！？ちょ、なんで知って！？」
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作者名：華うさ | 作成日時：2024年3月2日 15時
