01. あの人と：日向翔陽 ページ1
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「おっ！今日も早いね〜日向」
「あ、滝さん、チワース！」
正式入部ドンチャン騒ぎも収まり、晴れて烏野バレーボール部への仲間入りを果たした日向。
聞けば中学時代はバレーを思うように出来なかったらしく、今の環境がよっぽど嬉しいのかほぼ毎日体育館に1番乗りしている。
「日向、玉出ししてあげよっか？」
ボールの入ったカゴや救急箱、もしかしたら使うかもしれないビブスなどを準備した後、少し余った時間を見ながら日向に尋ねてみると
腹ペコのワンちゃんが大好物を前にヨダレを垂らしているような、それに近い興奮度合いでブンブンと首を上下させる。
そんな日向のリアクションに可愛い奴め…と内心ニヤけなが「いっくよー」とボールを山なりにポーンと放った刹那
＿＿＿ババンッ！！
高い打点から打ち下ろされたボールが体育館の硬い床に跳ね返り、静かなその空間を震えさせるほどの快音を響かせる。
「いつ見てもほんとよく飛ぶね」
「滝さん！早く早く！もう1回！！」
「はいへいはい」
投げては快音、投げては快音。
その都度自らの拳をグッと握りしめ「くぅ〜！」と余韻に浸る日向とそのボールの音に、ウズウズとそわそわから発芽した好奇心が芽生える。
「ねぇ日向、ちょっと高めに上げてもいい？」
何の確認やら頭に？マークを浮かべつつもとりあえず「大丈夫です！」と返してきた日向に、今までより少し高めにポ〜ンとボールを上げた直後
ネットを挟んだ反対側のコートに回り込んでは位置取り、日向のスパイクを完璧なAパスで返してみせた。
「ふふっ…ふははははははっ！！どーよ日向！ノヤ直伝の私のレシーブは！！」
さすがに高校生男子のボールは重たく痛く、両腕をプラプラさせながら様にならない格好で高らかに笑う姿は本当に先輩なのかと疑われても仕方がない。
しかし、
そんな大人気ない先輩の姿など関係なく自分のスパイクを完璧に返されたことに「ぐぬぬ…」と苦虫でも噛み潰した表情で悔しがる日向。
「滝さん！もう1本お願いシヤッス！！」
「ふふっ、この私を倒せるかしら？」
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『弟のようであり、姉のようであり』
▲
「滝さん！もう1本！！」
「や、ゴメン日向…私の腕、限界…」
「俺はまだまだいけます！」
「日向サン、勘弁シテ下サイ…」
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作者名：華うさ | 作成日時：2024年3月2日 15時
