32章:冬休 ページ32
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告白を決心してからというもの、いつもより数段早い体感速度で時間は過ぎ去って‥
色んな意味で運命を握る、冬合宿。
亮介「そこどいてくれない?邪魔なんだけど」
御幸「あっ、亮さん」
亮介「どーせ、蔵沢のこと見てたんでしょ」
御幸「ははっ、失礼しまーす」
数分後には合宿が始まるってゆーのに、別の意味でそわそわが止まらず、エスパー亮さんから逃げる様に駆け出す。
その行き先はもちろん決まってて‥
夏合宿の時と同じ様に、梅本と肩を並べながら楽しそうに話す蔵沢。
少しだけ気になったのは、普通に話す蔵沢の隣で、いきなり「えぇっ!?」と大声を上げた梅本の反応。
御幸「はよ」
蔵沢「御幸おはよ〜!あっ、遅刻しなかったからね!」
御幸「はっはっは、まだ何も言ってねーだろ」
蔵沢「言いたそうな顔してたもん」
朝も早く、まだ薄暗い時間帯。
真冬の早朝の風は思ったより冷たく、臨時マネでも同じ時間に集合の蔵沢の鼻先は、その寒さから微かに赤く染まってて‥
御幸「コレ、使えよ」
蔵沢「えっ‥いい、いいよ!寒いんだから御幸が使いなって!」
御幸「俺は身体動かしたら温まるし、その赤くなった鼻隠しとけよ」
蔵沢「だから一言多いってば!」
御幸「ほらよ」
蔵沢「あ、ありがと‥」
首からネックウォーマーを外し、そのままポスンッと蔵沢にかぶせる。
御幸「じゃあ冬合宿もよろしくな、臨時マネ!」
蔵沢「御幸も、夏より厳しいって噂だけど頑張ってね!」
御幸「おう」
片手を挙げながらその場を離れ、みんなの所に戻ろうと歩き始めれば、追い付く様に走ってきた倉持にタイキックを喰らわされる。
倉持「合宿初日からイチャついてんじゃねーよ」
御幸「痛ってー‥あっ、俺決めたから」
倉持「あぁ?」
御幸「イヴに蔵沢に告る」
倉持「へぇ〜‥って、マジかよ!?」
御幸「マジ」
倉持「にしても急だな」
御幸「そーでもねーよ?イヴとか絶好のタイミングだし、お前に言われた通り来年も同じクラスとは限んねーからな」
倉持「フラれた時は野球部全員に言いふらしてやるから安心しろよ」
御幸「はっはっは、言ってろ」
マジでどーなるか分かんねーけどな‥
結城「よろしくお願いしゃすっ!!」
全員「しゃすっ!!」
青道に入学して初めての冬合宿に加え、人生で初めて一目惚れした子に、これまた初めての告白。
そんな『初めて』がふんだんに盛り込まれた冬休みがついに幕を開けた‥
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作者名:華うさ | 作成日時:2016年5月20日 22時