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04章:芽生 ページ4




倉持「練習中にニヤけてんじゃねーよ」

御幸「痛でっ!」



練習後、防具を外しながら片付けていると、後ろから歩いてきた倉持に蹴りを喰らわされる。



御幸「おい…蹴るこたねーだろ?」

倉持「ムカつくからいいんだよ」

御幸「どんな理由だよ」

倉持「それより、そのニヤけた(ツラ)何とかしろよ」

御幸「別にニヤけてねーよ」

倉持「亮さんも「御幸のあの顔何とかなんないの?」って言ってたぞ」

御幸「…マジで?」

倉持「二遊間ナメんなよ」



「『ダイヤモンドのてっぺん』だね!」



蔵沢にそう言われた日から、毎日当たり前の様に座ってたその場所を、すげェ意識するようになったのは事実で…

…俺、そんなニヤけてたのか?

自分でも無意識だったことを指摘され、無言のまま悶々と寮までの道を歩く。



倉持「もしかしてよォ…」



そんな無言の空気の中ポツリと、並んで歩いていた倉持が静かに口を開く。



倉持「蔵沢のこと…好きなのかよ?」



…は?



御幸「…誰が?」

倉持「テメェがだよ!」

御幸「…いつから?」

倉持「俺が知るかよ!!」



唐突に突き付けられた『好き』という単語。



御幸「好き…俺が蔵沢のことを…」

倉持「…お前、もしかして意外と鈍い?」

御幸「ん〜好きになられるのは慣れてっけど、好きになることってなかったからな〜」

倉持「テメェ、マジで嫌味な奴だな」

御幸「そんな褒めんなよ♡」

倉持「褒めてねーよ!いちいちうぜェな!!」



生まれて初めて芽生えた新芽(かんじょう)は…



御幸「…いつ好きになったんだ?」

倉持「まだ入学してそんな経ってねーんだ、どう考えても最近だろ」

御幸「…あっ、自己紹介の時か?」

倉持「自己紹介って…1番最初じゃねーか」

御幸「あの時の蔵沢のこと、すげェ印象に残ってんだよ」

倉持「じゃあ、一目惚れなんじゃねーの?」

御幸「………」



いまハッキリと形を成して、日の目を浴びる。



御幸「倉持」

倉持「んだよ」

御幸「お前って案外いい奴だよな」

倉持「………」

御幸「ん?どした?」

倉持「…お前の誉め言葉には裏がある」

御幸「こらこら、素直に受け取っとけよ♡」

倉持「お前自身が信用出来ねェからな」

御幸「はっはっはっ、ひでェなおい」



一目惚れから始まった俺の『初恋』



御幸(…蔵沢に早く会いてェな)



気付けば柄にもなく、そんなことを考えていた−…


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作者名:華うさ | 作成日時:2016年5月20日 22時

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