28章:其隣 ページ28
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倉持「なに勝手に休憩してんだよ、オラ」
御幸「痛ってェ‥!ピークも過ぎたし、さっきすげー働いたし、ちょっとぐらい休ませろよ」
倉持「テメェ目当ての客だろ?働いて当たり前じゃねーか」
御幸「倉持目当ての客は‥来ねーわな」
倉持「‥それは嫌味って分かって言ってんだよなァ?」
御幸「はっはっは、まぁ落ち着けよ」
額に青筋をピクピクさせる倉持をなだめるも、会話が一区切りしたところで、はぁ〜と息を吐く。
だいぶ客足も落ち着いてきた教室の隅で、動く気にもなれず‥待機中のフリして堂々とサボり。
倉持「‥お前、顔に出すぎ」
御幸「普通出るだろ‥」
倉持「そんなんでキャッチャー大丈夫かよ」
御幸「ソレはソレ、コレはコレだっつーの」
あの後、鳴からの申し出をすんなりと快諾し、当番が終わるや否や、鳴と一緒に教室を出て行った蔵沢。
‥俺だって一緒に回りてーのに‥
倉持「ところでよ‥お前らちょっと前、様子おかしかったよな?」
「何かあったのか?」と聞いてくるあたり、面倒見が良いというか、お節介焼きというか‥
今まで色々聞いてもらった手前、無視することも出来ず、少し前に起きた出来事を説明する。
告白現場を見られたこと
「好きな奴がいる」と言って避けられたこと
最終的に「協力するから」と言われたこと
倉持「ヒャハハ!お友だち宣言されてんじゃねーか」
御幸「‥『励ます』って言葉の意味、教えてやろーか?」
倉持「何で俺がテメェを励まさなきゃなんねーんだよ」
話した相手を間違えたな‥と反省していた矢先、急に真面目なトーンで倉持が口を開く。
倉持「‥向こうはお前の気持ち知らねーんだ、友だちとして普通のこと言っただけだろ」
御幸「まぁ‥な」
倉持「今日も成宮に対して文句も言えねーし、さっさと告れよ」
「そしてフラれろ!」と不吉な言葉を続ける倉持を見て、やっぱり話した相手を間違えたなと改めて思う。
御幸「‥今タイミング図ってんだよ」
倉持「そのタイミングっていつだよ」
御幸「まだ分かんねーけど‥」
倉持「お前さ、来年も同じクラスとは限んねーんだぞ」
最後の一言が胸にグサッと突き刺さったところで「あぁ!サボってる〜!」と笑顔で戻ってきた蔵沢の隣には‥
__俺じゃない、別の男が立っていて
その光景を黙って見てる方がずっと苦しくて‥
今すぐ腕を引いて抱き寄せたい‥そんな子供みたいな独占欲が沸々と沸き起こった。
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作者名:華うさ | 作成日時:2016年5月20日 22時