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19章:申出 ページ19




ついに迎えた夏休み最終日。

この約1ヶ月、グラウンドに居ることが当たり前になってた蔵沢が、明日からは居ないんだよな…



御幸(…臨時って約束だったもんな…)



初日とは打って変わって急降下中のテンションに、明日から学校で会えるか…と言い聞かせ蔵沢の元へ向かう。



御幸「はよ、今日で最後だな」

蔵沢「御幸おはよ!うん…何か今年の夏休みは特に早く感じたかも」

御幸「それにしても、結構焼けたな」

蔵沢「ほんとに!日焼け止め全然役に立たなかったよ」

御幸「はっはっは、毎日動いてちょっとは痩せたんじゃねーの?」

蔵沢「はぁ〜?普通お礼が先じゃないんですか〜?」

御幸「…マジで助かったよ、ありがとな」

蔵沢「…す、素直な御幸‥こわっ…」

御幸「こらこら」



「冗談!こちらこそありがとね♫」と笑う蔵沢に、マネ続けてくんねーかな…と淡い願望が芽生える。



御幸(最初は夏休みだけでも十分だって思ってたのにな…)




__気付けばどんどん欲深くなっていく




御幸(ははっ、肝心なことはなかなか言えねーくせに…)



自分の中のギャップに内心苦笑しつつ、先日の亮さんの言葉を思い出し、キュッと拳に力を込める。



御幸「あのさ…」

蔵沢「ん?何?」



首を傾げながらジッと見つめてくる蔵沢に、思いきって自分の願望をぶつける。




御幸「…このままマネージャー続けて」




小さく「えっ…」と声を漏らした後、まさかの申し出に驚いたのか、少し考える様に顔を伏せる蔵沢。

答えが決まったのか、ゆっくり顔が上がるに連れて絡む視線に、俺の脈もどんどん速くなって…




蔵沢「せっかくだけど…ゴメン」




たった一言、されど一言であえなく撃沈



蔵沢「せっかく誘ってくれたのにゴメンね…」

御幸「…やっぱキツかった?」

蔵沢「違う!マネージャー業は本当に楽しかったよ!ただ…」

御幸「ただ?」

蔵沢「断ったのはスゴく個人的な理由なんだ…」

御幸「…まぁ、蔵沢がそう言うんだったら諦めるわ」

蔵沢「ほんっとにゴメン!!」



顔の前でバチン!と両手を合わせ、本当に申し訳なさそうに下げる頭に、優しくポンポンと触れる。



御幸「じゃあラスト1日よろしくな」

蔵沢「御幸も夏休みラスト頑張ってね!」



こうして送り出されることもなくなるのか…



無意識に頭に触れた手を見ながら、後ろ髪引かれる想いを残しつつ、今年も夏が終わろうとしていた−…


20章:告白→←18章:胸響



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作者名:華うさ | 作成日時:2016年5月20日 22時

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