18章：胸響 ページ18
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御幸「…今日ホームラン決めてきた」
倉持「はっ？！…ついに告ったのか？」
御幸「バッティングセンターで」
倉持「紛らわしいんだよ！」
蔵沢と別れて寮に戻った後、いつの間にか相談役になってる倉持と、自販機横のベンチで肩を並べる。
なぜかそこには亮さんの姿も…
亮介「で、2人きりで出掛けて特に何もなかったの？」
御幸「いや、それが…」
亮介「何？ハッキリ言いなよ」
今にも脳天めがけて落とされそうなチョップの構えに、咄嗟に両腕で頭を守りながら言葉を続ける。
御幸「…「カッコいいと思うよ」って言われたんです」
倉持「マジかよ！？」
御幸「ほら、入学してすぐの頃、俺の噂がどうとかって話してたろ？あん時の質問の答えだって」
倉持「あぁ〜んなこともあったな」
亮介「倉持、俺にも分かる様に説明して」
チョップの構えを解いた亮さんがストップをかけ、順を追って「実は…」と説明し始める倉持。
一通り説明し終えた後「ふ〜ん」と何か考える様に、顎に手をかけたまま亮さんが口を開く。
亮介「もう普通に脈アリじゃん」
御幸「そう…スか…？」
亮介「じゃなかったら小悪魔だよ、蔵沢は」
御幸「……」
亮介「それより俺が聞きたいのは、どうしてそのタイミングで告んなかった訳？」
御幸「…予想もしてなかった言葉に、頭が真っ白になったというか…」
亮介「ふ〜ん…御幸って意外とウブ？」
倉持「コイツ、野球では鬼みたいなこと言うくせに、好きな奴の前だと全然ッスからね」
ヒャハハ！と隣で楽しそうに笑う倉持を睨んでいると、ガタッと音を立ててベンチから立ち上がる亮さん。
亮介「御幸がウブなのは分かったけど、どっちにしろ動かないと変わんないよ…今の関係」
御幸「…そうッスね」
亮介「まぁ、モタモタして横取りされるのは御幸で、俺には関係ないけど」
御幸「……」
その言葉を残してバットを手に取り、素振りに行こうとする亮さんの後ろを「あっ、俺も行きます！」と倉持が追いかける。
1人残されたベンチで、夕空を見上げながら「ふぅ〜…」と大きく息を吐く。
御幸(…動かないと変わんないよ…か)
グサッと胸に突き刺さった言葉が、まだ鮮明に耳元でこだまする。
…『お友だち』から抜け出す勇気が欲しい
そんなことを考えながらも、今日1日隣で楽しそうに笑ってた蔵沢の顔が、頭の中の大半を占めていた−…
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作者名：華うさ | 作成日時：2016年5月20日 22時
