16章:回答 ページ16
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蔵沢「あ〜美味しかった♡」
御幸「俺のチャーハンといい勝負ってとこだな」
蔵沢「えっ!?御幸、料理出来んの?!」
御幸「たぶん蔵沢よりは出来ると思うぜ」
蔵沢「はいはい、一言余計で〜す」
御幸「はっはっは、機嫌直せよ」
蔵沢「誰のせいよ、誰の」
そんな他愛もない会話をしながら館内を歩き、1番最初にたどり着いたのは…そう
この水族館の名物、全長30メートルにも及ぶ巨大水槽。
蔵沢「…おっきぃ〜…」
御幸「…すげェな…」
天井から降り注ぐ光が海中の様な演出をし、大小様々な海の生き物が、優雅にその中を泳ぎ回っていた。
隣で「綺麗…」と呟く蔵沢の瞳は、水中の光を受けてキラキラと輝き、その見入ってる姿に見惚れていると
パッとこっちを向いた蔵沢と目が合い、逸らすことも出来ず見つめ合うことコンマ数秒…
蔵沢「…そんなにジーっと見ないでよ…」
御幸「楽しそうで良かったな〜と思って」
蔵沢「…バカにしてるでしょ?」
御幸「いやいや、誉めてるんだって♡」
「絶対ウソだ」と膨れる蔵沢と巨大水槽を離れ、次にやって来たのはクラゲの展示コーナー。
蔵沢「…うわぁ〜…」
御幸「…へぇ〜…」
巨大水槽と違い照明は薄暗く、様々な形をした水槽が個々に存在し、その中をクラゲがふわふわと漂う。
個々の水槽はそれぞれが淡い光を放ち、自然と小声になる様な幻想的な雰囲気を醸し出す。
そんなクラゲたちを見ながら、蔵沢が静かに口を開いた。
蔵沢「…ねぇ御幸」
御幸「ん?」
蔵沢「まだ御幸に答えてなかった質問…あるでしょ?」
「俺、何か質問してたっけ?」と首を傾げれば「入学してすぐの頃の話だけど…」と言われ記憶を辿る。
御幸「…あっ、俺の噂がどうとかってやつ?」
蔵沢「ははっ、覚えてた」
御幸「で、それがどうかした?」
蔵沢「…御幸のことカッコいいと思うよ…」
……へ?
蔵沢「…夏休み毎日頑張ってる姿とかさ、カッコいいな…って思ったよ」
…ちょ、待っ、えぇ…?!
蔵沢「性格に難アリだけど」
御幸「…こらこら」
悪戯っぽく笑う蔵沢に対して、照れ隠しながら一言返すのが精一杯で…
この静かな空間の中じゃ、バックンバックンうるさい心臓の音が、蔵沢に聞こえんじゃねーか心配で…
…俺の心臓、いま一瞬止まったかも…
とりあえずどうしようもなく火照った顔を隠すのに、照明が薄暗かったことに感謝した−…
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作者名:華うさ | 作成日時:2016年5月20日 22時