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15章:外出 ページ15




蔵沢「えっ!?もしかして待たせた?!」

御幸「俺もいま来たとこだからそんな待ってねーよ」

蔵沢「まだ10分前だから絶対私の方が早いと思ったのにな〜」



言えるかよ…

楽しみと緊張で40分前から来てたとか…



御幸「はっはっは、じゃあ行くか」



切符を買ってホームで電車を待ってる間、いつもと違う雰囲気の蔵沢に早くも暴れ回る心臓。



御幸(…私服すげェ可愛い…)



ホームに流れる熱を帯びた風が、ワンピースのスカートを揺らせば、男のロマンを掻き立て

マネの時は結われてた髪も久々に下ろされ、緩く巻かれた髪がなびく度に、その香りが鼻の奥をくすぐる。



朝一からこんなんで、俺の心臓大丈夫かよ…



数分後に到着した電車へ乗り込むも、夏休み最後の日曜日と水族館の相乗効果からか、すでに満員御礼状態の車内。



御幸「…キツくね?大丈夫?」

蔵沢「う、うん…」



ドア横のスペースに蔵沢を立たせ、周りに押し潰されねェ様に前に立ったまでは良かったものの、想像以上の至近距離に固まる2人。



…俺の心臓、マジで止まんじゃねーの?



そんな妙な空気が流れる中「私…」と蔵沢の声が耳に届く。



蔵沢「水族館とか小学生ぶりぐらいかも」

御幸「あ…あぁ〜たぶん俺もそれぐらいだわ」

蔵沢「今日行くとこね、全長30メートルの巨大水槽が有名なんだって」

御幸「へぇ〜詳しいじゃん」

蔵沢「ホームページ見てきたから任せてよ!」

御幸「クラゲの水槽も有名らしいじゃん」

蔵沢「…何で知ってんの?」

御幸「ん?俺も見てきたから」



「先に言ってよ〜」といつも通りの空気に、緊張の糸も緩み目的地を目指した−…




蔵沢「ひぇ〜結構混んでるね」

御幸「最近出来たばっかだしな」



ガタンゴトンと電車に揺られながら着いた水族館は、家族連れやカップルで溢れていた。



御幸(…端から見たら俺らもカップルとか思われてんのかな〜)



そんな淡い考えを抱きながら、腕時計に視線を落とす。



御幸「もう昼前か…先にメシ食う?それとも先見る?」

蔵沢「じゃあご飯にする?後からだと混みそうだよね」

御幸「だな、じゃあメシ食った後でゆっくり回るか」

蔵沢「うん!私『イルカのジャンプカレー』食べるって決めてるんだ〜」

御幸「俺は『蟹の親子チャーハン』」

蔵沢「ほんと御幸ってちゃっかりだよね」

御幸「人のこと言えねーだろ」



そして入り口でチケットを取り出し、水族館内へと入って行った−…


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作者名:華うさ | 作成日時:2016年5月20日 22時

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