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01章:出逢 ページ1




高校1年生 春−…

入学式前から寮に入ってる俺は、特に目新しいこともなく自分の机に座ってスコアブックに目を通す。



倉持「お前、入学式の日までソレ見てんのかよ」

御幸「仕事みたいなもんだからな」

倉持「ぼっちまっしぐらだな」

御幸「ぼっちじゃねーよ?俺には倉持がいるし♡」

倉持「ヒャハハ!死ね!!」



同じ野球部の倉持が蹴りを繰り出そうとした瞬間、タイミングよく鳴り響いた予鈴に脚が止まる。

「チッ」と舌打ちを残しながら『く』と『み』で俺からは離れた、窓際の席に戻って行く倉持。



担任「じゃあ、みんな簡単に自己紹介な〜」



予鈴が鳴って少ししてから現れた担任が、月並みに入学を祝う言葉を言った後、これまた新入生恒例の自己紹介が始まる。

興味ねェな〜…と思いつつ、再びスコアブックに視線を落とすも『あ行』が終わったところで



御幸(…倉持のだけ聞いとくか)



今後の何かネタになるかもしれないと思い、自己紹介が始まってから初めて視線を上げる。



いま思えば

この視線を上げた時から、俺の中で何か動き始めてたんだろな…



蔵沢「蔵沢Aです。よろしくお願いします!」



窓から差し込む日差しと合間って、綺麗な栗色に光る少し巻いたセミロングの髪の毛

俺が座る廊下側の席までよく通る声

自分だけに向けられてるんじゃないかと思うほど、可愛らしくも眩しい笑顔



みんなからの拍手を受けて『蔵沢』と名乗った女子が座るまで…

不思議と座ってからも目を逸らせなかった。



視線を上げた目的の倉持が、どんな自己紹介をしたのかは驚くほど記憶になく、気付いた時には『た行』に移っていた。



御幸「御幸一也です。野球部です…よろしくお願いします」



全く興味のなかった自己紹介。

名前だけでも聞こえてくれたら‥と、無意識にいつもより少しだけ大きくした声。

わざわざ部活名まで付け加えて…



御幸(何やってんだ…俺)



話し終えてから無性に小っ恥ずかしくなり、再び机の上に広げたままのスコアブックに視線を戻す。

左側からの視線を、ちょっとだけ意識しながら。



この感情が生まれて初めての『一目惚れ』だと自覚したのはもう少し先の話−…


02章:笑顔→



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作者名:華うさ | 作成日時:2016年5月20日 22時

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