【呪術廻戦‪✕‬文豪ストレイドッグス】二つの力が絡まる世界！？ (ページ33)

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二十八話ページ33

「ゴフッ」

「う"っ"」

『·····厭だ、』

何時か…そう遠くない何時か、私は、人の形を保てなくなるんじゃないか。人の言語が判らなくなるんじゃないか。見せ掛けの人の面を被れなくなるんじゃないか。

「ぐへッ」

「あがッ」

『·····厭だ、厭だ厭だ厭だ厭だッ…！』

「ﾋｲｯ」

気付けば、最後の一人になっていた。私は其の“人間”を見下ろして、思いっ切り蹴り飛ばした。

「んがッ」

吹っ飛ばして少し落ち着いた私は、荒い息を整えながら、これで最後か、転移で無限湧き、とかじゃなくて良かった、なんて、他人事の様に考え乍ら其奴の吐いた血を眺めていた。

『全部、ちゃんと人間だった。』

偽物は私だけか。私はハハッ、と乾いた笑いをひとつ落として、目の前に広がる赤を見た。

───矢張り、私は……

太「さて(名前():お姫様)！迎えに来たよー」

『·····太宰さん。遅かった、ですね。』

私を見て、ほんの少し苦々しい表情になった太宰さんを見て、私の思考は一度そこで途切れた。

─────────そして今に至る。

太「·····A。」

止めて。

『あ、ははは…こんなに雑魚ばっか集めて、鼠(フョードル)の奴、何がしたいんでしょうね！』

其の目を、止めて。

太「·····」

『ッ、て、ていうか、“姫”は止めて下さいよ！恥ずかし…』

太「A。」

『ッ！』

有無を言わせない様な鷲色の瞳が真っ直ぐに向けられた。

太「疲れただろう？今日は早く帰ってゆっくり休もう。

·····其れから、A。君は何一つ間違って無い。君は君だ。其れ以上でも其れ以下でも無い。君は紛れもない…」

『人間、ですか。』

太「·····」

不自然に会話を切った私に、太宰さんは口を閉じ、静かに見据えた。其の視線に耐えきれず、思わず斜め下に目を逸らした。

『本当に、そうなんでしょうか。唯の、都合の良い妄想なんじゃないんでしょうか。』

太「違う。君は人間だ。誰よりも君を知る、私が云うのだから間違…」

『でも、其れを証明する術を、貴方も私も持ち合わせていません。

·····人は、何を持って“人”なのでしょうか。』

ずっとぐるぐると、考えていたからだろうか。段々と踏ん張りが効かなくなって、思考が狭く、鈍くなっていく。

太「───ッ！？A！A───！」

如何したんですか、そんなに焦って。太宰さんらしくないですね。

珍しく焦った様子の太宰さんに、そんな声を掛ける暇も無く、私の視界は闇に埋もれていった。