アリスを受け継いだ少女は【学園アリス】 (ページ7)

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朝早くに来たにもかかわらず、結局職員室で1時間程待たされた。
どこの職員室もコーヒーの匂いとタイピングの音は変わらないらしい。

しばらくして鳴海が私を呼びに来た。

「そろそろ時間かな」

時計を見てそう言った。
今の時刻は8時30分。始業の時間には丁度いい時間だ。

「教室に行こっか」

私は頷いて立ち上がった。
そして前を進む鳴海の後ろを着いていく。

「緊張してる？」

私が答えずにいると鳴海は爽やかに笑った。それがまた演技臭い。
それから教室まで鳴海が一方的に話し続けていた。

教室の前までくると中から喧しい声が聞こえてくる。

「ちょっと騒がしいけど、仲良くね」

そう言って扉を開くとより一層声はうるさくなる。
中に入るが生徒がこちらに気づいていないようだ。各々「遊び」に夢中らしい。

その「遊び」は宙に絵を描いたり、壁を走ったりという人間離れしたものだ。
そんな中でも一際目を輝かせこちらを見ていた少女がいた。

「せんせー！その子誰ですか！」

二つ結びに関西弁。
その女の子が声をかけると私たちの存在に気づいた生徒が席に座っていく。
私たちというか鳴海の存在か。

「今から紹介するよ」

ようやく静かになった教室で彼は教卓に近づきながらそう言った。

「この子は九条美月ちゃんです！」

さっきまで興味を示していなかった生徒がこちらを見つめている。
私は教室を見回して生徒一人一人の顔に目を向ける。

「美月ちゃん、自己紹介お願い」

ぼーっとしていると隣で鳴海がそう言った。
私は我に返り口を開く。自己紹介なんてやるなら前からやるって言っといてよ。

「九条美月です。神奈川から来ました。
人と話すことが苦手なのでたくさん声をかけてくれるとうれしいです」

当たり障りのない文だったはずだ。
ちらほらと拍手が聞こえた。

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