五拾肆 ページ8
「Aさぁぁぁぁぁあん、義勇ちゃん様ぁぁぁぁぁあ」
『お、この騒音はマグロやな』
バッサバッサと大きく羽ばたかせながらマグロがフラフラとAたちの元へと飛んできた。
どないしたん?と笑顔で答えるAだが、その顔は何処と無く恐怖を覚えさせるほどに不気味であった。
「お怒りですか…?」
『いんや?聞かんかった俺も悪いんやけどな、どっかの誰かさんがうっかりしすぎて俺らどないしょうか思てたところ』
「どっかの誰かさんですか…はた迷惑な方もいたもんですね」
『自分やで』
「恐縮です」
『褒めてへんわ』
マグロはゼィゼィと息を荒らげている。
先程叫んだせいで酸欠になっているのだ。
マグロは体力がなかった。
「…で、結局どこなんだ」
しびれを切らした義勇が尋ねる。
この一人と一羽のやり取りを見るのは好きだったが、今こんなことをしている間にも日暮れは迫ってきている。もし山越えをしなければならないのなら、今から走らなければ今日中にたどり着くかが怪しい。
「御館様が書にしたためて下さいました!少々お待ちくださいませ…ん?…あれ、どこや…」
『頭の飾りか?』
「御館様もそんな所に括り付けなくとも良いものを…」
取ってくださいとその小さい頭をAへと向けたマグロ。
頭の上には白い紙が丁寧に括り付けられている。まるで髪留めだ。
『んーと……?』
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Aへ
どうかこの文が無事にAへと届いていることを願うよ。
義勇との任務の場所のことだが、マグロは覚えるのが相変わらず苦手だね。書いた方が早い気がして筆を取る事になったよ。
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『マグロ…お前御館様にめっちゃ迷惑かけてない?』
「はて」
『あのなぁ…』
言いかけたAはマグロのとぼけ顔を見て諦めたような顔をしたのだった。
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karion(プロフ) - こんなに感動したのは久々で思わず泣いてしまいました(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)続き楽しみにしています(≧∀≦) (5月19日 17時) (レス) @page50 id: d59aca9a13 (このIDを非表示/違反報告)
タロ。(プロフ) - トカゲさん» ありがとうございます!ただいま制作中ですので、お楽しみに!! (2020年5月14日 17時) (レス) id: dd9aff063c (このIDを非表示/違反報告)
トカゲ(プロフ) - すごい面白かったです!!続きが気になっております!続編頑張ってください! (2020年5月10日 22時) (レス) id: 8140af0e98 (このIDを非表示/違反報告)
タロ。(プロフ) - スリーパー(?)さん» 涙まで……!!ありがとうございます、本当に嬉しいです!更新、頑張りますね!もう少し、静柱のお話にお付き合いよろしくお願いいたします! (2020年4月28日 15時) (レス) id: dd9aff063c (このIDを非表示/違反報告)
タロ。(プロフ) - 雪もちさん» その言葉だけでも励みになります!ただいま下書きに勤しんでいますので、今後も応援のほど、よろしくお願いいたします! (2020年4月28日 15時) (レス) id: dd9aff063c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:タロ。 | 作成日時:2019年10月20日 19時