【鬼滅の刃】静柱は騒がしい。 弐

五拾 ページ4

『義勇ちゃーん』

「……帰っていたのか」

『これから一緒に任務やん。聞いてへんかった？』



首を傾げた義勇にハァとため息をつく。

どうやら聞いていないらしい。

そういえば義勇ちゃんの鴉はご老体やったっけか…と1人で納得したAは、クセでわしゃわしゃと義勇の頭を撫でる。

そして蝶屋敷の方を一度見てから口を開いた。



『…義勇ちゃん、俺しーちゃんにお礼言ってへんからちょっと待っとってくれへん？』

「……あぁ、大丈夫だ」

『すぐ終わるからな』

「…………俺は子供じゃない」

『そらすまん』



ムッとした顔をしつつも、されるがままになっている義勇を見てAは笑った。
嫌ではないのだ。

しばらく頭を撫でていたAだが義勇に早く行けと言われてしまい、踵を返した。


そして中庭のところで、カナヲの姿を見かけた。




『カナヲちゃん』

「……！」



やっほーと手を振るA。

当然といえば当然だが、カナヲがそれに手を振り返すことはない。なんならしのぶからこの男とは口を利くなと言われている始末である。



『しーちゃん何処におる？』

「…………」

『……うーん』



大昔のしのぶにも同じようなことをされた気が…と記憶を遡ったAだが、それきっかけで確か凄く嫌われていたはずだと思い出し、カナヲの照れた顔が見たいのをぐっと堪えた。

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