七拾伍 ページ29
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「……それから、おにぃさんはどうしたの?」
少年が前のめりにAへと尋ねる。
まァまァと両手でそれを制して、Aはニコリと笑った。
『俺は鬼殺隊に入った』
そう呟いて自分の左隣に置いた刀をそっと撫でたA。
鬼殺隊?と首を傾げる少年も、Aの手の動きに釣られて目線をそちらへと落した。
『それで…今でもその弟を探しとる』
「……見つかってないんだね」
『…………』
「それじゃ、僕と一緒だ」
フフフっと少年が笑った気がして、Aは顔を上げる。
『……嬉しそうやな』
「嬉しそうじゃなくて、嬉しいんだよ」
僕もずっと、にいちゃんを探してるから
視線を逸らした少年は、ふと空を見上げた。
儚げに揺らぐ碧い瞳。
それを見た瞬間に、Aは居た堪れない気持ちになった。
今すぐに抱き寄せたい。
今ここで、強く抱き締めて、やっと見つけたと言いたい。
1人にしてすまなかったと謝りたい。
色々な感情の渦巻くAに少年が気付くわけもなく、少年はポツリと呟いた。
「……どれだけここで待っても、来るのは全然違う子たちばっかり」
『…キミは、なんでここで待っとるんや?』
「ここに居ればいつか会えるって。無惨がそう言ってた」
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karion(プロフ) - こんなに感動したのは久々で思わず泣いてしまいました(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)続き楽しみにしています(≧∀≦) (5月19日 17時) (レス) @page50 id: d59aca9a13 (このIDを非表示/違反報告)
タロ。(プロフ) - トカゲさん» ありがとうございます!ただいま制作中ですので、お楽しみに!! (2020年5月14日 17時) (レス) id: dd9aff063c (このIDを非表示/違反報告)
トカゲ(プロフ) - すごい面白かったです!!続きが気になっております!続編頑張ってください! (2020年5月10日 22時) (レス) id: 8140af0e98 (このIDを非表示/違反報告)
タロ。(プロフ) - スリーパー(?)さん» 涙まで……!!ありがとうございます、本当に嬉しいです!更新、頑張りますね!もう少し、静柱のお話にお付き合いよろしくお願いいたします! (2020年4月28日 15時) (レス) id: dd9aff063c (このIDを非表示/違反報告)
タロ。(プロフ) - 雪もちさん» その言葉だけでも励みになります!ただいま下書きに勤しんでいますので、今後も応援のほど、よろしくお願いいたします! (2020年4月28日 15時) (レス) id: dd9aff063c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:タロ。 | 作成日時:2019年10月20日 19時