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七拾壱 ページ25

何時でも引き抜けるように柄を握る。
周囲に意識を向けて、鬼の位置を探った。だが一向に相手の現れる気配がない。

斬りかかってみてもいいのだが、それは得策ではなさそうなのでAは極力相手が先に動くのを待つ。



応答ぐらいしてくれや…一人で喋ってめっちゃ痛いヤツみたいやんけ……



しびれを切らすA。軽く舌打ちをして目の前にいるのであろう鬼の色に睨みをきかせた。

一か八かで斬り込むか、それともまだ粘ってみるか……?そうAが一瞬迷いをみせたその刹那だった。




『っ?!』




辺りの霧がAを覆い尽くす。

まとわりつく様に密集する霧の塊にAは思わず息の仕方を忘れた。
いくら霧といえど元々は水だ。集まられると苦しい。

無闇に足掻くと自分の首を絞めそうだと悟ったAは、ただその霧の流れに身を任せてみることにした。

まとわりつく霧。
足元を掬われたような感覚がしてフワ……と体が浮いた。

そしてその後、またしても優しく足の裏に地面の感覚が戻ってきて霧が晴れる。






広い場所に出ていた。
何だか訳の分からないところへと飛ばされてしまったが、Aは周りをぐるりと見渡してから少し悟った。


色の濃くなった衣服。
そこらに溢れる涙の色と恐怖の色。
鬼の色がそこらじゅうにこびりついていて、ここには死の色まで見える。


どうやらここが、攫われた少年たちの末路らしい。




『地獄絵図やな……』




生々しいその色を睨みつけながら、Aは刀にかけたその手に力を込めた。
鬼の懐へと招かれたらしい。随分と舐められたものだ。




『はよ姿現さんかい。ええ加減怒るで?滅多に怒らん閼伽さんが怒ってまうで?』




顔には穏やかな笑みを貼り付けたままAは周りへと声をかける。至る所から鬼の色が見える。
どれもこれもハッキリした色で、鬼の居場所が特定できない。



すると、すぐ目の前の方で微かに空気が動いた。
咄嗟に身構えたA。



じっくりと目を凝らすと緋色の羽織が見えた。









「おかしいなぁ……どうやって入ったの?」

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設定タグ:鬼滅の刃 , 男主   
作品ジャンル:アニメ
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karion(プロフ) - こんなに感動したのは久々で思わず泣いてしまいました(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)続き楽しみにしています(≧∀≦) (5月19日 17時) (レス) @page50 id: d59aca9a13 (このIDを非表示/違反報告)
タロ。(プロフ) - トカゲさん» ありがとうございます!ただいま制作中ですので、お楽しみに!! (2020年5月14日 17時) (レス) id: dd9aff063c (このIDを非表示/違反報告)
トカゲ(プロフ) - すごい面白かったです!!続きが気になっております!続編頑張ってください! (2020年5月10日 22時) (レス) id: 8140af0e98 (このIDを非表示/違反報告)
タロ。(プロフ) - スリーパー(?)さん» 涙まで……!!ありがとうございます、本当に嬉しいです!更新、頑張りますね!もう少し、静柱のお話にお付き合いよろしくお願いいたします! (2020年4月28日 15時) (レス) id: dd9aff063c (このIDを非表示/違反報告)
タロ。(プロフ) - 雪もちさん» その言葉だけでも励みになります!ただいま下書きに勤しんでいますので、今後も応援のほど、よろしくお願いいたします! (2020年4月28日 15時) (レス) id: dd9aff063c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:タロ。 | 作成日時:2019年10月20日 19時

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