六拾参 ページ17
『…一緒か、分かれるか』
「分かれる」
『はいよ』
待ち合わせの場所とお互いの進む方向だけを決めて2人は分かれた。
Aも義勇も、共闘する時は鬼がかなりの大物だった時だけだ。少なくとも下弦なら1人でも倒せる。
山の中へと1歩踏み出したA。
その途端、身の回りの色が変わったのに気が付いたAは無意識に顔を顰める。
『……っこれは…』
かなりの量がおりそうやな……それもただの雑魚が
量だけなら大したことは無い。走るついでに斬ればいい話だ。
そう考えたAは音もなく走り出した。
静かに且つ、速く。
どうしても大物だけは日付が変わるまでに斬っておきたかった。
この時期は日の出が早いので、鬼が隠れるのも早い。
枝へ枝へと飛び映りながら目を凝らすと、その周辺に比較的まだ新しい鬼の色を見つけた。
子どもの色も見える。恐怖の色、悲しみの色、戸惑いの色、Aの目に映る軌跡は生々しく【彼ら】の心を見せてくる。
『……酷いもんやな』
一層眉間のシワを深くしながらもAは走り続けた。
そしてそのすぐあと、やけに濃い鬼の色が視界に入ったAは、足を止めて枝の上から見下ろした。
「ッヒヒィ…人間だなァ…人間の匂いだァ……何処だァ……」
さまよう影は随分と早くに見つかった。
本玉で無いのは明らかだが、これも仕事の一部だとワザと鬼の目の前に降り立ったAは、刀に手をかけたまま顎を引いてその場に立つ。
『匂いの出処もわからんとは、お前、とんだ阿呆やな』
「阿呆だァ……?どの面下げて…オイオイ…コレァ随分と美人じゃねェかァ…」
『鬼に美人や言われても嬉しないで…』
おどけたように声をかけながらAは鬼に向けて少しだけ微笑んだ。
1238人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
karion(プロフ) - こんなに感動したのは久々で思わず泣いてしまいました(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)続き楽しみにしています(≧∀≦) (5月19日 17時) (レス) @page50 id: d59aca9a13 (このIDを非表示/違反報告)
タロ。(プロフ) - トカゲさん» ありがとうございます!ただいま制作中ですので、お楽しみに!! (2020年5月14日 17時) (レス) id: dd9aff063c (このIDを非表示/違反報告)
トカゲ(プロフ) - すごい面白かったです!!続きが気になっております!続編頑張ってください! (2020年5月10日 22時) (レス) id: 8140af0e98 (このIDを非表示/違反報告)
タロ。(プロフ) - スリーパー(?)さん» 涙まで……!!ありがとうございます、本当に嬉しいです!更新、頑張りますね!もう少し、静柱のお話にお付き合いよろしくお願いいたします! (2020年4月28日 15時) (レス) id: dd9aff063c (このIDを非表示/違反報告)
タロ。(プロフ) - 雪もちさん» その言葉だけでも励みになります!ただいま下書きに勤しんでいますので、今後も応援のほど、よろしくお願いいたします! (2020年4月28日 15時) (レス) id: dd9aff063c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:タロ。 | 作成日時:2019年10月20日 19時