五拾捌 ページ12
この町には複数の鬼の気配が渦巻いている。
それに柱が2人も派遣されたのだ。強さも伊達ではないと推測できる。
これは中々の長丁場になりそうやな…、Aはそう思った。
「あの…お二人とも私の家へとご案内させていただけませんか?長くなりますゆえ、座敷の方がよろしいかと」
時惟と名乗った青年がおずおずと提案をする。
Aは少し辺りを見渡したあと、うんと頷いた。
『…それもそうか。この町の15、6の男子いうたら何人や』
「もう7人ほどに」
『そこに集めれるか?』
「八十八さん、頼みます」
「おぅよ」
『義勇ちゃん、ヤッさんと回ってくれへんか』
「護衛だな、分かった」
駆け足でその場を去った八十八と義勇を見送り、Aは時惟に向き直った。
「……苦労人のお顔をされておられますね」
時惟はAの目を見てそう言う。
僅かながらに目を見開いたAだが、すぐにフッと笑った。
『今1番の苦労人にそないなこと言われても説得力あらへんな』
ほな、案内頼むで。
ポンと肩を叩いたAは周りの建物に身を隠しているのであろう住人たちの方へと微笑みかけてから時惟と共に歩き出した。
時惟の家は呉服屋らしい。
金持ちの家の坊ちゃんってとこか、とAは屋敷へと上げてもらうと腰を下ろした。
日暮れまで時間がある。詳細をあれこれ聞いていた。
行方不明者が増えだしたのは今より5年前からだと時惟は言った。
15あたりの町の少年が裏の山へと消えては帰ってこないと。
ただの神隠しであろうと思っていたのもつかの間、八十八の父親が山へと入り少年のあとを追ったところ、鬼を見たというのだ。
助けようと足を踏み出し近付いたところ、気がつけば山の入口へと引き戻されており、町の者総出で鬼退治に山へ入ったとしても鬼の姿はなかったと。
しかし鬼騒動は収まることを知らずまるで加速するかのように行方不明者が増えていった。
ひと月に一人程度だったのが2週間に一人、一週間に一人……。
まるで夢遊病者のように家を抜け出していく少年の姿だけが増えていくのだ。
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karion(プロフ) - こんなに感動したのは久々で思わず泣いてしまいました(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)続き楽しみにしています(≧∀≦) (5月19日 17時) (レス) @page50 id: d59aca9a13 (このIDを非表示/違反報告)
タロ。(プロフ) - トカゲさん» ありがとうございます!ただいま制作中ですので、お楽しみに!! (2020年5月14日 17時) (レス) id: dd9aff063c (このIDを非表示/違反報告)
トカゲ(プロフ) - すごい面白かったです!!続きが気になっております!続編頑張ってください! (2020年5月10日 22時) (レス) id: 8140af0e98 (このIDを非表示/違反報告)
タロ。(プロフ) - スリーパー(?)さん» 涙まで……!!ありがとうございます、本当に嬉しいです!更新、頑張りますね!もう少し、静柱のお話にお付き合いよろしくお願いいたします! (2020年4月28日 15時) (レス) id: dd9aff063c (このIDを非表示/違反報告)
タロ。(プロフ) - 雪もちさん» その言葉だけでも励みになります!ただいま下書きに勤しんでいますので、今後も応援のほど、よろしくお願いいたします! (2020年4月28日 15時) (レス) id: dd9aff063c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:タロ。 | 作成日時:2019年10月20日 19時