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五拾漆 ページ11

暫く走り続けて、漸く目的の町まで来た。
さすが柱と言ったところだろうか。
2人とも息は切れていなかった。

“飛燕町”そう書かれた看板を横目で見つつ2人はその町の敷居を跨ぐ。
暑いなぁ、と手でパタパタと首元を扇いだA。
そうだなと返答を義勇がしたところで、町の異変を感じとり目をスっ…と細めた。



『……なんや妙な町やな』

「…あぁ、妙だ」



日暮れにはまだ早い時間だというのに人影がなかった。
建物の入口からチラチラと視線を感じるのは恐らく、町の者が突然の来訪者に興味示しているからだろう。

Aの目には悲しみの色と恐怖の色が見え隠れしていた。
そして見逃さなかったのはその合間に見えた【安堵の色】。



「……あぁ、鬼狩り様……!!」
「鬼狩り様がいらっしゃった……」



口々にそう言った町の人々。
刀と隊服を見てそう判断したのだろう。

すると、ひょろっとした男が2人が義勇とAの目の前へと転がるように飛び出してきた。
片方は土色の甚平、片方は上品な紺の着物を着ている。
2人とも顔色が悪い。



「鬼狩り様、どうかお助けを…!」

「この町をお救いくだせぇ……!!」

『そんな頭下げんでもええてオニィサン方。何があったんか教えてくれるか』



頭が地に埋まりそうな勢いで土下座をする2人にAが声をかける。
頭を下げられるのは苦手だった。
2人はその声にハッと顔を上げるとAの方を見る
どうやら聞き慣れない訛りに戸惑っているようだが、Aは全くもって気にしていない。

こういった反応には馴れている。
先を促すようにAがホラ、と声をかけると食い気味に片方の青年が口を開いた。



「…ちょうど15かそこらの男の子がいなくなっちまうんだ…!」



義勇とAの向かって左側。
赤褐色の髪の青年がそう言う。肌はよく焼けている。恐らく農家の子だろう。



「私たちも気をつけて外には出さないようにしているんですが、どうもフラリと山へと消えてしまいまして…」



右側の黒髪の青年も口を開く。
どことなく影のある色白の青年だった。

血気術か…と思い顎に手を置いたAは義勇の方へと目線をやる。義勇は口を噤んだままだ。



『……お二人さん、名前は』

「へィ、俺ァ八十八(やそはち)っつーモンで」

「私は時惟(ときなり)と申します」

『ヤッさんとトキやな。詳しく頼む』

「……」



義勇が山の方を向いている。鬼の気配を感じているのだろう。それはAも同じだった。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 男主   
作品ジャンル:アニメ
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karion(プロフ) - こんなに感動したのは久々で思わず泣いてしまいました(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)続き楽しみにしています(≧∀≦) (5月19日 17時) (レス) @page50 id: d59aca9a13 (このIDを非表示/違反報告)
タロ。(プロフ) - トカゲさん» ありがとうございます!ただいま制作中ですので、お楽しみに!! (2020年5月14日 17時) (レス) id: dd9aff063c (このIDを非表示/違反報告)
トカゲ(プロフ) - すごい面白かったです!!続きが気になっております!続編頑張ってください! (2020年5月10日 22時) (レス) id: 8140af0e98 (このIDを非表示/違反報告)
タロ。(プロフ) - スリーパー(?)さん» 涙まで……!!ありがとうございます、本当に嬉しいです!更新、頑張りますね!もう少し、静柱のお話にお付き合いよろしくお願いいたします! (2020年4月28日 15時) (レス) id: dd9aff063c (このIDを非表示/違反報告)
タロ。(プロフ) - 雪もちさん» その言葉だけでも励みになります!ただいま下書きに勤しんでいますので、今後も応援のほど、よろしくお願いいたします! (2020年4月28日 15時) (レス) id: dd9aff063c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:タロ。 | 作成日時:2019年10月20日 19時

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