廿漆 ページ28
ある夜のこと。
縁側に出たAは穏やかな風にその髪をそよがせて、雲ひとつない夜空を眺めていた。
こんな月の夜は感じるに限る。
月と美丈夫。
美しいものの代表のようなふたつが揃ったその縁側は、まるで絵画のように静かであった。
『……ん？』
「ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ怒ってますか？」
屋根の上。おそらくそこにいるのは呼吸の練習をしていた炭治郎と、様子を見に来たしのぶだろう。
『……そうか、』
炭治郎も、それに気付いとったんか。
風に乗って聞こえた彼の声に、Aはふぅ…と息をついて縁側に腰をかけた。
そしてどこかその目は悲しく伏せられている。
伏せた睫毛に月明かりが反射し、その紫がとても妖艶に透けた。
Aが初めてしのぶと会った時、
Aは、こんなに強気な子がいたのかと驚いたほどだった。
*☼*―――――*☼*―――――*☼*―――――*☼*―――――
『……カナエ〜？』
蝶屋敷。
当時のAはしのぶの姉であるカナエと仲が良かった。
そしてたまたま合同任務ということで迎えに来た時のことだった。
『……？カナエどこいったんや？』
カナエー！と彼女の名前を呼びながらAは屋敷の裏へと回る。
するとそこにいたのは、
『……あら？』
カナエよりも少し小さな、しのぶであった。
取り入れた着物をたたみテキパキと物事をこなしていく姿はとても立派で、年齢不相応に大人びていた彼女をAはよく覚えている。
『……こんにちは、お嬢ちゃん』
カナエどこにおるか知らん？
腰をかがめて顔の高さをしのぶに合わせ、Aは首を傾げる。
だが少し顔が近かったのだろう。
顔を真っ赤にしたしのぶは、フイッとそっぽを向いてしまった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1089人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
隆弘 - 誕生日一緒だァァァァァ⁉︎今日から読み始めるので楽しみって感じです‼︎ (2022年7月25日 0時) (
レス) @page1 id: 4c1fa166fb (このIDを非表示/違反報告)
タロ。(プロフ) - 拙い説明で申し訳ありません……！ですが、ありがとうございます！ (2020年1月21日 18時) (レス) id: a185b79d93 (このIDを非表示/違反報告)
タロ。(プロフ) - ルルさん» ご指摘ありがとうございます！紛らわしい書き方をして申し訳ございません…あくまで、炭治郎には火の呼吸という認識をワザとさせています。その後の閼伽が「日…ではない」と語っていますので、ここの間違いは意図的となります (2020年1月21日 18時) (レス) id: a185b79d93 (このIDを非表示/違反報告)
ルル - 珊しちでした (2020年1月21日 17時) (レス) id: 2200c5b181 (このIDを非表示/違反報告)
ルル - 珊じゅう話の炭次郎が言ってる呼吸が日の呼吸ではなく火の呼吸になってます (2020年1月21日 17時) (レス) id: 2200c5b181 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：タロ。 | 作成日時：2019年9月25日 21時
