廿 ページ21
四六時中全集中の呼吸をし続けるなんて、炭治郎にとっては未知の領域。しのぶに聞くのも手だがなんとなく親しみやすいAが1番聞きやすい相手だった。
『どうやってって……』
暫く考えていたA。
顎に手を置いてうーんと首を捻る。
その姿ですら絵になる男だ。改めてAの顔の良さを知ることになる炭治郎。
『……普通に、ヒューってやってスゥーーーッや』
「……はい?」
『だから、』
ヒューッスゥーーーッってやるねん。と大袈裟に身振り手振りで説明を試みるA。だが残念ながらそれは微塵も炭治郎に届いていない。目を点にしてAを見ている。
『んー…どう言うたらええかな……』
「何から始めてみたとか……」
『えぇ…だって俺、常中は自然と出来てたことやし…』
「え」
普通の物差しでAを測ってはいけない。Aが刀を握って呼吸の使い手となることができたのは他でもない彼の無意識の努力の賜物。誰もが真似できるという訳ではなかった。むしろ、会得者であるA自身が苦労したという自覚がないのでタチが悪い。
なんとなく炭治郎もそれを感じ取ったのだろう。どうしたものかと首をひねった。そして、諦めるのが妥当だと思ったのだろう。
「……とりあえず、俺なりに頑張ってみます!」
気持ちがいいほどの笑顔でAへと告げた。
『おん、がんばれー』
まぁ、たんじろーならすぐ出来るようになるやろ。
ことの原因であるこの男はそんなこと知る由もない。
走りながら部屋を出ていく炭治郎を手を振って見送り、Aは寝台から降りる。
羽織を着てゆっくりとAも蝶屋敷から出た。
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大正コソコソ噂話
「実は、閼伽さんの脱走癖のことは蝶屋敷の皆知っています」
『え、バレとったん?!』
「言っても聞かないので、1回ぐらい行き倒れた方が学ぶかと思いまして」
『とか言ってしーちゃん看病ちゃんとしてくれるやん』
「…………」
『まって、痛い痛い、つねるのやめて痛い』
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隆弘 - 誕生日一緒だァァァァァ⁉︎今日から読み始めるので楽しみって感じです‼︎ (2022年7月25日 0時) (レス) @page1 id: 4c1fa166fb (このIDを非表示/違反報告)
タロ。(プロフ) - 拙い説明で申し訳ありません……!ですが、ありがとうございます! (2020年1月21日 18時) (レス) id: a185b79d93 (このIDを非表示/違反報告)
タロ。(プロフ) - ルルさん» ご指摘ありがとうございます!紛らわしい書き方をして申し訳ございません…あくまで、炭治郎には火の呼吸という認識をワザとさせています。その後の閼伽が「日…ではない」と語っていますので、ここの間違いは意図的となります (2020年1月21日 18時) (レス) id: a185b79d93 (このIDを非表示/違反報告)
ルル - 珊しちでした (2020年1月21日 17時) (レス) id: 2200c5b181 (このIDを非表示/違反報告)
ルル - 珊じゅう話の炭次郎が言ってる呼吸が日の呼吸ではなく火の呼吸になってます (2020年1月21日 17時) (レス) id: 2200c5b181 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:タロ。 | 作成日時:2019年9月25日 21時