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私の左隣で一緒にしゃがみこみ、背中をさすり続けてくれている建人さん。
もう片方の手で私の左手をそっと包み込んでくれていた。
温かい手のひら。
親指で手の甲を撫でられる。
「……高専で保健医をしている私の先輩に、貴女のその…体調不良のことを相談してみたんです」
「……ごじょうさん、ですか？」
「いいえ。家入さんという女性の先輩です」
五条さんが保健医なんてするはずないでしょう、と呆れた声。
さすっていた手が、トントンと規則正しいリズムを刻んだ。
まるで幼子を寝かしつけるようなそのリズムに、私は少しずつ力が抜けていく。
「……明日にでも1度、病院に行きましょう」
「かぜでは…ないですよ、だって、熱はないんですから」
「えぇ。恐らくそうでしょう」
ハッとして、彼の言わんとすることを理解した時、私は少しの間、息をするのを忘れていた。
こら、息を止めるんじゃありません、と小さく叱られて、急いで深呼吸をする。
バクバクと心臓が五月蝿かった。
恐る恐る建人さんの方を見れば、彼が微笑んでいたことを知る。
目にかかっていた髪を彼の指に掬われ、耳にかけられた。
「私も一緒に行きますから」
病院へ行けば産婦人科にまわされ、そこでの診断結果は三ヶ月とのことだった。
隣でずっと手を繋いでいてくれた建人さんは、その言葉を聞いた時に力が入ったことを、自覚しているのだろうか。
私は、そっと自身の下腹部に手を当てる。
そうか、ここに……ここに、いるんだね。
実感こそないものの、色々な説明を聞くうちにジワジワと胸の内に熱いものが広がる心地がした。
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黒猫25 - ただただ感動しました。七海さん、推しなのでとても嬉しいです！ありがとうございます (2022年4月19日 22時) (
レス) @page47 id: 270b34836a (このIDを非表示/違反報告)
タロ。(プロフ) - 六花さん» コメントありがとうございます…！七海さんらしい、という言葉が何よりも嬉しいものでございます。夫婦は似るもの、という言葉に倣ったエンドにしたかったのです。ハッピーエンドと感じていただけたのなら光栄でございます。本当に、ありがとうございます！ (2021年4月15日 8時) (レス) id: 6d2f9f581f (このIDを非表示/違反報告)
六花 - やっと七海さんらしい夢小説に出会えました。悲しくてさみしくて読みながら泣きました。終わり方もとてもよかったです。旧住まいに戻りそこから未来が続いていくと感じられたところが特に。最後の電話のやり取りなんて堪らないです。ハッピーエンドだと感じました。 (2021年4月13日 18時) (レス) id: 001585b729 (このIDを非表示/違反報告)
タロ。(プロフ) - マリイさん» あなた様の解釈に一致していれば幸いでございます。通りすがりにでも一読していただき、誠に有難うございました。 (2021年3月7日 18時) (レス) id: 6d2f9f581f (このIDを非表示/違反報告)
マリイ - 建人は私の夫 建人の方からプロポーズして来た建人は私が居ないと私に愛されてないと建人死んじゃう建人は私には超過保護 (2021年3月7日 11時) (レス) id: 421640d4d1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：タロ。 | 作成日時：2021年1月28日 2時
