・ ページ17
・
食事を終えたところで建人さんに連絡を入れる。
すぐには目を通せないだろう。
少し遠出すると言っていたので、きっとメールを確認できるのはもう少し後だと思う。
「テレビでも付けますか?」
手持ち無沙汰に辺りを見回していた恵くんに声をかけてみる。
あからさまにビクッと肩を跳ねさせてこちらを向いた彼は、気まずそうに視線を泳がせた。
この子も呪術師になるのだろうか。
妙に大人びた顔つきの彼の、ふとした瞬間に垣間見える年相応の表情に少し安心する。
「…あの、」
「はい?」
「……」
「あら」
「?」
言葉に詰まった彼の横顔。
首の辺りに痣のようなものを見つけて、思わず手を伸ばしかける。
またやってしまう所だった、とその手を戻して、ようやくこちらを見てくれた恵くんに目線を合わせた。
「首の痣、どうしたんです?」
「えっ」
ここです、と自分の首を指してみれば、焦ったように彼は首を押さえる。
「なんでもないです」
「でも青くなって……」
「なんでもないです!」
どうしたものかしら、と思う。
普通ならできないところに青痣があるだなんて、なんでもないことないのに。
焦ったような彼の反応に、ふむ、と少し考える。
……青春だなぁ、なんて年寄りじみた感想を抱きながら、私もソファーに座ることにした。
「……恵くんは、お幾つでしたっけ」
「……13です」
「なら今は中学1年生か2年生ね」
「2年です、けど」
「その痣の理由、当ててみせましょうか」
え、と間抜けな声が聞こえてくる。
太陽の光が射し込むリビングはとても暖かくなっていて、夏場でもこの陽気は心地よかった。
・
335人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒猫25 - ただただ感動しました。七海さん、推しなのでとても嬉しいです!ありがとうございます (2022年4月19日 22時) (レス) @page47 id: 270b34836a (このIDを非表示/違反報告)
タロ。(プロフ) - 六花さん» コメントありがとうございます…!七海さんらしい、という言葉が何よりも嬉しいものでございます。夫婦は似るもの、という言葉に倣ったエンドにしたかったのです。ハッピーエンドと感じていただけたのなら光栄でございます。本当に、ありがとうございます! (2021年4月15日 8時) (レス) id: 6d2f9f581f (このIDを非表示/違反報告)
六花 - やっと七海さんらしい夢小説に出会えました。悲しくてさみしくて読みながら泣きました。終わり方もとてもよかったです。旧住まいに戻りそこから未来が続いていくと感じられたところが特に。最後の電話のやり取りなんて堪らないです。ハッピーエンドだと感じました。 (2021年4月13日 18時) (レス) id: 001585b729 (このIDを非表示/違反報告)
タロ。(プロフ) - マリイさん» あなた様の解釈に一致していれば幸いでございます。通りすがりにでも一読していただき、誠に有難うございました。 (2021年3月7日 18時) (レス) id: 6d2f9f581f (このIDを非表示/違反報告)
マリイ - 建人は私の夫 建人の方からプロポーズして来た建人は私が居ないと私に愛されてないと建人死んじゃう建人は私には超過保護 (2021年3月7日 11時) (レス) id: 421640d4d1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:タロ。 | 作成日時:2021年1月28日 2時