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「問題?」
「……ルカが組織に見つかると殺される、とでも言うの?」
鸚鵡返しに問い返したのは少年。憶測を口にしたのは少女。「いや」と私はその憶測を否定する。
「私の庇護下にいる限り表の組織も裏の組織も手出しはしてこないから、問題なのはルカ自身。
身体年齢は普通に君らと同い年くらいだし、知識量はなまじ記憶力が高い分、多分君ら二人どころか私が対抗しようとしても叶わないくらいだけれど……精神年齢は自我が生まれてそんなにたっていないせいで、だいたい三歳から五歳くらいなんだ。
そしてある意味私よりも厄介で肝心なのが、」
一度言葉を切って、どう表現したらいいかと私は視線を彷徨わせる。
「暗殺者だった名残か、命の価値や他人の感情を全く理解していなくてね」
「まさか子供のように我慢できない性格とあいまって、邪魔者だと認定したらすぐ殺しにかかるとか?」
「止めたおかげで未遂だけれど実際にそういうことが一度あってね」
「そんな危険人物日本に連れてくるなよ!?」
思わずという風に少年が立ち上がって怒鳴ったが、私だってルカを犯罪者にしたくはないから連れてくるつもりはなかったのだ。パスポートを理由に留守番させていたというのに、FBIを利用して追いかけてくるなど誰が予想する?
「とりあえず私の玩具は殺さないように厳命しているからまだマシなんだけれど、ルカ自身が殺してはいけないと認識するには、人間として友好的に接するしかないからね。ルカの精神を育てる意味でも、君たちに事情を話して、なるべく人に接しさせようと思ったんだ」
そう締め括ると、二人は深々と溜息を吐いた。
「……彼は私たちの正体は知っているの?」
「知らないよ。けれど知っても口外しないだろうね、私の玩具だと知っているもの」
少女の言葉に答えれば、少年は憮然とした表情で頬杖をつく。
「まぁ、アカネさんは約束を違えねぇもんな」
「理解してくれて何よりだ」
私はにっこりと笑いコーヒーを飲み干す。そして私も阿笠博士の発明品を見るべく、ソファーから立ち上がった。
◇ ◇ ◇
「マスター、江戸川コナン、って有名人なんですか?」
「キッドキラーで有名だね」
「他では?」
「捜査一課の一部で死神少年と噂されている程度だよ」
「そーでしたか」
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祝福を貴方へ(プロフ) - ハマっていた当時一番好きな作品でした。懐かしい気持ちになりながら再読。非常に面白い作品をありがとうございます。 (2021年11月26日 21時) (レス) id: 1da6884cdd (このIDを非表示/違反報告)
愛 - すごく面白いです。長く続いているので、読みごあります。これからも頑張ってください。 (2017年7月26日 8時) (レス) id: a49300f60e (このIDを非表示/違反報告)
を。 - 白髪の子の設定もう少し簡単にしてほしかったです。長々しくて飽きちゃいました。 (2016年8月28日 0時) (レス) id: 193e3c63af (このIDを非表示/違反報告)
坂佐野 はずみ(プロフ) - 主人公ってかなりのキチガイなんでしょうか (2016年8月5日 23時) (レス) id: 5347212e91 (このIDを非表示/違反報告)
玲(プロフ) - 凄いですね!いつも楽しく読ませていただいております。難し言葉とかに詳しいんですね!これからも頑張ってください! (2016年6月30日 21時) (レス) id: 34dd7aa040 (このIDを非表示/違反報告)
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