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FILE4・ビュロウと《Twilight》 ページ21

事情聴取が終わったときには、既に夜になっていた。私は先程返却された私用のケータイを取り出し、着信履歴を見て絶句。


ジンからの着信、計三十件。


情報源はベルモットだろうと確信しつつ、私はジンに電話をかけた。


「もしもし、心配かけたみたいだね?」
『……無事だったか』


ジンらしくもない言葉に私は肩を竦める。


「私は遊んだだけだから、君は気にしなくても大丈夫だよ」
『発砲されて脅されたと聞いたが』
「別に怖くはなかったからね。それにライフルで撃たれるよりはマシさ」


二年前、私は彼らの組織に間違って狙撃されたことがある。それを指摘すればしばしの間を置き、『……悪かった』と返された。珍しく素直だ。


「謝罪は要らないさ。彼にはもう手出ししてないんだろ?」
『当たり前だ、お前のヨハネに手を出すほど俺が愚かと思うのか?』


理解あるジンの言葉に私は微笑み、「もう切るよ」と返して通話を切った。そして電話の発着信履歴を全て削除する。


ピロン♪


ケータイを仕舞おうとしたときにちょうど鳴ったメールの受信音に、私は思わず呟いた。


「なんてタイムリーな……」


私用のケータイのメルアドを教えているのはただ一人。私の玩具、後に愛弟子となった、コードネームは《Crescent》。

私に気に入られることであの組織から脱け出すことのできた、唯一の人物だ。


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From:Luca
件名:お久しぶりです

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とある事情で日本に滞在すること
ができました
マスターとも会うかもしれません
もしも見かけたらぜひ声をかけて
頂けますと嬉しいです

  -End-

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その文面に私は首を傾げた。彼には戸籍がないためにパスポートが作れなかったはずだ。だが日本に来られたということは、何かの手段を取ったということ。彼はえらく私に懐いているので大抵の場合、非合法な手段だったとしても話してくれるはずなのだが。

何か私の怒りに触れるようなことがあるのかと考えていると、黒のシボレーが私の横に停車した。
もしかして、と思う間もなく顔を出したは赤井秀一。なんで自家用車がここにあるんだ、バスがここに止まったのは不幸な事故(意訳)だよな?


「女性の夜道の一人歩きは危ない。送っていこう」
「だが断る」

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祝福を貴方へ(プロフ) - ハマっていた当時一番好きな作品でした。懐かしい気持ちになりながら再読。非常に面白い作品をありがとうございます。 (2021年11月26日 21時) (レス) id: 1da6884cdd (このIDを非表示/違反報告)
- すごく面白いです。長く続いているので、読みごあります。これからも頑張ってください。 (2017年7月26日 8時) (レス) id: a49300f60e (このIDを非表示/違反報告)
を。 - 白髪の子の設定もう少し簡単にしてほしかったです。長々しくて飽きちゃいました。 (2016年8月28日 0時) (レス) id: 193e3c63af (このIDを非表示/違反報告)
坂佐野 はずみ(プロフ) - 主人公ってかなりのキチガイなんでしょうか (2016年8月5日 23時) (レス) id: 5347212e91 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 凄いですね!いつも楽しく読ませていただいております。難し言葉とかに詳しいんですね!これからも頑張ってください! (2016年6月30日 21時) (レス) id: 34dd7aa040 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:初弦 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2016年5月25日 15時

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