1 ページ1
――Aside――
――ねぇ、それおれじゃだめなの?
その言葉を聞いたときは思わず自分の耳を疑った。
「おれじゃそいつの代わりになれないのかなぁ？」
目の前でポテトをつまみながらフフン、と鼻を鳴らすテヒョン。
ここは言わずと知れたファストフード店のボックス席。
よく見慣れた光景だったのに、その言葉のせいで景色がまるで違って見える。
『ちょっと待って？ ねぇ、テヒョン。冗談なの？それとも私の耳がおかしくなった？』
「んー、どっちでもないかなぁ。ていうか選択肢に“本当”って入ってないの笑っちゃうなぁ」
もぐもぐとポテトを咀嚼するテヒョンはふにゃり、と笑いながらそう言う。
「さっきから言ってるでしょ？おれじゃダメなの？って」
いやいやいや、ちょっと待て、時よ止まれ、頼むから。
きょとん、と小首を傾げながら、くりくりとした目で――三白眼のくせに時々可愛く見えるのだからそれはズルい――見てくるテヒョン。
『テヒョン、それさ、ほんとに、本気で言ってるの？』
「本気も何もぼくが言う冗談なんてほぼないでしょ？」
Aは知ってるよね？とぐいっと顔を近づけて聞いてくるものだから柄にもなく心臓が早鐘を打つ。
確かにテヒョンは驚くくらい真っ直ぐだ。誤魔化すとかそういうことが苦手な、タイプの。
『……えーっと』
「あー、もう、Aはそーいう時だけ鈍いふりしちゃって」
にっこり、という言葉が似合うくらいにあどけなく笑って見せたテヒョンは、私が一番聞きたくなかった言葉を口にした。
――おれはAのことが好きって言ってるんだよ？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1170人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
木染 凌(プロフ) - りおんさん» わーっ！ありがたいご指摘ありがとうございます……ダメですね、ついいつもの癖が出てしまって……。ご指摘、ありがとうございます……直させていただきますね！ (2022年1月5日 22時) (
レス) id: a5ef8e0975 (このIDを非表示/違反報告)
りおん(プロフ) - 楽しく読ませていただいています♪ひとつだけ気になったのですが女の子から年上の男性はオッパになるので、ジンヒョンではなくジンオッパになると思います！ (2022年1月5日 18時) (レス) @page33 id: 9be766f014 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：木染 凌 | 作成日時：2021年12月29日 5時
