おとななじみ (ページ2)

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Aside

私は物心ついた時からハルと一緒にいた｡

あの日は初めて保育園に行く時だった｡

初めての場所でハルしか知ってる人はいなくて､ハルの手をずっと握ってた｡

｢じゃあせっかくだから自己紹介しましょうね〜｣

って先生が言ってからみんなで自己紹介をした｡

私はというと…

｢かみしろあやのです…えっと…ひとみしり…？です｣

｢ひとみしりってなに？しりだすの？｣

へっ！？

｢しり！？｣

ハルがとても大きな声で言った｡

びっくりしてる私は無視してかわからないけどお尻を振って1人で歌って踊り出した｡

｢ひとーみしーりしり､ひとみしり♪｣

｢ちょっと春くん！？｣

｢おしーりしりしり､ひとみしり♪ハイッ！｣

先生に叱られるのも構わず､ハルは歌って踊り続ける｡

パッと私の方を見たかと思うと､キラキラした目で私を見つめている｡

一緒にどう？と呼びかけられてるみたいに｡

｢…おしりしり､ひとみしり？｣

ハルが楽しそうだったから私もつられて小さい声で歌ってみた｡

｢ひとーみしりしり､ひとみしり♪｣

ハルが楽しそうに繰り返す｡

私の心はどんどん軽くなっていった｡

見よう見まねで手足を動かし､ヘンテコなダンスを踊り始める｡

｢おしーりしりしり､ひとみしり♪｣

2人の声が揃うと､先生たちも声をあげて笑った｡

ダンスの途中で私はふと顔をあげた｡

ハルと目が合った｡

｢げんきでた？ほいくえんでもよろしくね！あやの！｣

そう言って､手を差し出してくる｡

勇気を出して握ってみると､ぎゅっと握り返してくれた｡

ちなみにひとみしりダンスはしばらく保育園で流行ってた…らしい｡