無自覚 ページ6
「おはよ」
「Aか。今日は早いな」
笑いながら「せやろ」とおどけてみる。
「準備、手伝うわ」
手際よく練習の準備を整える彼に声をかけた。
「ありがとうな」
北くんは間違ったことはしない。
ちゃんとしている。
「毎日この時間に来とん?」
けれども、キャプテンになってからはそれが『ちゃんとしないと』に変わったのではないだろうか、なんて思ったり。
「おん」
そしてきっと、そのことに本人も気付いていないのだ。
「手伝ってくれてありがとうな。おかげでいっつもより早う練習に取りかかれるわ」
私は北くんになれへんけど、北くんも私にはなれへん。
だから、私は…
「あんな、北くん」
振り向いた彼に努めて優しい笑顔で告げる。
「北くん、頑張りすぎやない?」
「全然。こんくらいやって普通や」
ほら。気付いていないんだ。
「そんなことない。最近の北くん、厳しすぎるで」
むっとした顔で口を開く北くん。少し雰囲気が固くなった。
正論パンチが始まる合図だ。
「厳しいことなんかあらへん。俺はちゃんとやってるだけや。ちゃんとやったら着いて来れるやろ」
そして、いつもより少しだけ細い声で「俺がちゃんとやらな、みんな着いて来んやろ」と言った。
1寸程の静けさが過ぎるとパタパタと小走りする足音が聴こえてきた。
「おはよー…って、どないしたんや。こんな朝から」
現れたのは尾白くん。
私達の空気を察したのか、小さめの声で「朝から正論パンチもほどほどにな〜」と言って自分の練習を始めた。
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つばめ(プロフ) - しをんさん» ありがとうございます!呼び方の表記はカタカナ派でしたか…!ご存知かもしれませんが原作は漢字表記にカタカナのルビなので、夢小説でいちいちルビを振るのもくどいかな、と思い漢字表記にしてます、すみません… (2020年4月16日 9時) (レス) id: 84ef81dd31 (このIDを非表示/違反報告)
しをん(プロフ) - おもしろくてとても大好きな作品なんですけど…宮ついんずは互いにツムとサムって呼びあってますよ…!!でも違和感無いんでいいかもですけど少し気になりまして…。でもこの作品激しく面白かったです!!!! (2020年4月15日 20時) (レス) id: 4e8b2ee3b5 (このIDを非表示/違反報告)
つばめ(プロフ) - イチゴいちさん» コメントありがとうございます、気に入っていただけて嬉しいです!後日談…検討しておきますねー! (2020年4月15日 13時) (レス) id: 84ef81dd31 (このIDを非表示/違反報告)
イチゴいち - 初めましてです!確かに短かったですが私は飽きっぽいのでありがたかったです!後日談とか読んでみたい(*´∇`*) (2020年4月15日 12時) (レス) id: 86b9e23d57 (このIDを非表示/違反報告)
つばめ(プロフ) - Ruuさん» なんと!有難いお言葉…短いお話にはなりますが楽しんでくださいませー! (2020年4月11日 18時) (レス) id: 84ef81dd31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:つばめ | 作成日時:2020年4月5日 17時