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そんな私たちを見ている人がいるとも知らずに私はすやすやと松村さんの肩で眠る。
道枝「仲良いですよね。」
松村「うん。仲良しだと思う」
俺なりの好きアピなんだけど。Aちゃんは気付いているのだろうか。
……にしてもうえみさんからかなりの視線を感じる。
さすがに距離近すぎるか───────
いや、あれはAちゃんへの敵意だ。
先輩女優をも蹴落とそうという子の方がまあ、業界では強いけど。
松村「ちょっと不安だな……」
トラブルになんなきゃいいけど。
み「Aさんって、色目使ってのし上がったんですか?」
「ええ?色目?誰に。」
み「いろーんなひと。なんかちょっと引きましたー。」
「……ええ?」
マ「いや、Aさんはすごい実力でのし上がったタイプですけどね……」
マネージャーさんの運転する車内は少しばかりギスギスしていた。
え、なんで私こんなこと言われないといけないの?
なんかしたっけ。
「何か気に触ることしてしまいましたか?」
み「そういうとこがムカつくんですけど。」
窓の方を見て目も合わせてくれない彼女に何を言っても無駄だろう。
「……。」
この空間、辛い。
色目ってなんだろう、松村さんとかと仲良くしてもらってること?
胃が痛くなってくる。考え事は増やしたくない。
次の彼女の仕事はオーディション。私は収録。
明日からは彼女も私のバーターで映画の撮影がある。
しかも京本さんと森本さんがいるんだけど……。
またなんか言われちゃうのかな。下手に仲良くしないようにしなきゃなのかな……。
別にアンチから何言われようが構わないけど同じ空間を過ごす人間に嫌われてるとくるものがある。
「……胃薬買っとこ。」
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作者名:冬村 | 作成日時:2022年12月27日 7時