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YouTube撮るために事務所来たら面接してた。
「なんのために役者になりたいのか」
と問われていて「夢や希望を届けたいからです!」と答えてる子。
うちの社長は現実主義で
「夢や希望じゃ飯は食えないし社員は生活ができない。Aは泥臭いところも見せていけ。努力してる人間ほど応援したくなるものなんだから。」
と常々言っている。
夢や希望、ねえ。
「車お願いします!」
「Aさん明日の仕事の入の時間変わったんですけど──」
「およ、了解。ありがとうございます。」
スケジュール変更をスマホに打ち込みスタジオへと向かう。
「……Mステ、松村さんもいるのか。なにわ男子も。って言うことはみっちーは出番が2回ある」
何がなんでも番宣を上手くやるつもりだ……
映画化までこぎ着けた。ここまで来れば将来私はこの作品を秘蔵映像として出されるのだろうか。
そこまで、女優として生きていれば。
「あ、Aちゃん椅子座って〜」
「いえ!先輩方がおすわり頂いて!」
後輩だろうと席は譲るけどね。
この方は私が頑なに断るのを面白がってるだけだから断っても失礼にはならない
「失礼します」
田中「久しぶり!!元気なった!?」
「わあ熱烈だ」
京本「本当に心配してたんだけどね。」
高地「まあ連絡くれてたから大丈夫なんだろうけど、元気そうで何より。」
松村「……何、みんなAちゃんと連絡とってんの?」
「「取ってる」」
そう、ほかのメンバーは何かあれば割とLINEをくれるのだけど、松村さんは全く何も送ってこない。
まあ用事がないから当たり前か。
「いや今日は立ち回んないです。やっぱこの業界ブラックなんで体力ないとやっていけないんでしょうね。欠員を無理やり埋めるのも間に合わないし。」
また裏方でも手伝うの?と聞かれたからそう答えると「なるほど?」といった顔。
裏も表も知って置いた方がスタッフさん受けもいいし、求められてることが何かわかるし。
私は割と好きだ。
「音と飛んでが映画化決定いたしました!私たち軽音部は廃部の危機に立ち向かいます……!目標は文化祭の成功!果たして私たちは成功へと導けるのか!」
道枝「深見と桃乃の関係にも進展が……!?是非劇場でご覧下さい!」
田中「あのー、この作品ね、うちの松村北斗も出てまして。」
松村「はいー、顧問の高井です。」
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作者名:冬村 | 作成日時:2022年12月27日 7時