｢あっ｣という間に君が好き (ページ1)

今日:10 hit、昨日:16 hit、合計:87,542 hit

○01 ページ1

坂を駆け上った。

全力で

それはもう、全力で。

｢はぁっ……｣

『カット！！』

その声を聞いて私は表情を元に戻し、スタッフさんに渡されたタオルで汗を拭う。

CMの外ロケだ。分かりやすく青春みたいなCM。

｢いや～良かったよ、ほんとに最近飛ぶ鳥を落とす勢いだよねー！｣

｢ありがとうございます、本当に自分でも信じられませんね……。｣

監督さんが褒めてくださり少しばかり世間話をする。

最初は小さな仕事が貰えるくらいの新人だったが、

2度目くらいのCMがSNSでかなり話題になったこと、わたしの顔立ちが誰かの好みになれるくらいにはいいこと。

そのおかげか私はうなぎ登りに有名になっていった。

そもそも私は元々女優になるつもりなんて1ミリもなかった。

｢高卒かー。でもまだまだ人足りてないし、とりあえず面接来てもらいます？｣
｢っすねー。あ、社長。この子写真めっちゃ可愛いですよ｣
｢お、どれどれ……｣

私は高卒で就職を選んだ。
やりたいこともない。
無駄にお金払って学校に行く意味も見出せない。

とりあえず手当り次第に高卒でも応募できる求人に応募した。

面接に1番早く呼ばれたのが今の事務所、スターライツだった。ただそれだけ。