File 2-C. 神が為に ページ8
ヴヴ、と社用スマホが震えて、メッセージの受信を伝える。PCから目を離して、私はスマホを持ち上げてはメッセージの内容を見た。
「あ、降谷さーん。車の修理終わったって。小言付きで連絡きましたよ」
「あぁ、ご苦労。そうだな、今からでいいから取りに行ってくれるか?」
「ははは無理無理、ペーパードライバーなので修理屋さんに直帰エンドになっちゃう」
資料を眺めていた降谷さんはその返答に一瞬だけ頭を抱えてから、別の同僚に同じ指示をした。
二つ返事で了承した彼に向かって、引き出しから取り出した降谷さんの車のキーを投げる。華麗にキャッチした同僚くんは、必要最低限の荷物をズボンのポケットに入れてから、チャリチャリとキーの音を鳴らして企画課室から駆け足で出ていった。
ちなみに普通ならキーは修理屋さんに預けるんだけど、今回はドアがほぼ千切れておりキーの役目がなくなったのでブチギレた修理屋さんが突き返してきたのだ。
それを見届けてからPC画面に視線を戻すと、褐色肌の指が目と鼻の先にあって。衝撃と刺すような痛みに、私は仰け反り痛みに呻いた。
「いって!」
「君ね、上司の車のキーを投げるな」
「いいじゃないですか落としてないんだから〜!」
デコピンされたおでこを労わるように撫でながら、私は文句たらたらの視線を上司に投げる。やれやれと首を振ってから、降谷さんは私の机に資料を置いた。
「こないだの宗教団体の件だが、管理官から許可が降りた。早速だが、デジタルフォレンジックを頼めないか」
「あ、じゃあ許可申請しときますね」
「いや」
キーボードに手を置いた私に降谷さんの声が降りかかって、私の手はぴたりと止まる。
不自然に言葉を途中で止めた降谷さんの顔を首ごと真上を向かせて見上げれば、降谷さんは珍しくにやりと楽しげな笑みを浮かべていた。
「時短で頼む」
「時短。……時短、って、つまり」
どんな調査でも、原則許可証を不要とした調査は違法だ。そのステップをとばす時短ということはそれは実質ハッキングでは。
いや、実質というか。
「……まさか……!」
「足跡、残すなよ?」
楽しそうな声音でそう言いながら、降谷さんは私の頭をぽんぽんと撫でる。対する私はそれはもう満面の笑みだ。
「っ……一生ついていきますボス!!」
「とか言って来週の今頃また別の上司の下に着きたいとかいうんだろ」
「よくわかってらっしゃる」
おい、と小突かれたけど気にしない。久々に潜れるんだから!
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始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - おかきさん» 更新が本当にゆっくりで申し訳ないですが、そのように言っていただいて嬉しいです!今後もゆっくり確実に更新していきますので、思い出したときに見ていただけると幸いです! (3月21日 1時) (レス) id: 5d704cea99 (このIDを非表示/違反報告)
おかき(プロフ) - 続きが気になる、!続きを楽しみに待ってます!! (11月29日 22時) (レス) @page35 id: 3161f0695a (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - りんごポップコーンさん» ありがとうございます!資格試験が片付いたのでまた書き始めます!遅くなり申し訳ないですが、またいつか読みに来てくださるととてもうれしいです…! (7月10日 22時) (レス) id: 5d704cea99 (このIDを非表示/違反報告)
りんごポップコーン - 続きが気になります!良ければ、また書いてくださらないでしょうか…? (2023年1月22日 8時) (レス) @page31 id: 56aae56e91 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:∧∧ネコミミ∧∧ | 作者ホームページ:
作成日時:2022年6月24日 21時