File X: 閑話休題 - 爆処組 ページ6
「あれ。Aちゃんじゃーん」
「あれ、萩先輩じゃーん」
手に持っていた書類を脇に挟んで、私はキャッキャと萩さんと手と手を合わせてスキップする。そんな私たち二人を呆れを隠さず見てくるのは、松田さんだ。室内だというのになぜかサングラスをかけていて、相変わらずガラが悪い。
「なんでおめーが
「私がいつも遊びに来るためだけにこっちに来てると思ってるでしょ! まぁその通りですけども」
伊達さん萩先輩もだけど、刑事課の皆はめちゃくちゃ可愛がってくれるので、定時に上がれた日にはよくこっちのフロアに遊びに来ます。現金? ったりめーだろコラ!
松田さんだけは別枠。
私は脇に挟んでいた書類をまた手に戻し、二人に見せた。二人がそろって私の手元を覗き込んで、あぁと合点がいったように小さく呟く。
「AIでここ一年の監視カメラの画像を洗い出さなきゃいけなくて。AI持ってるのはこのフロアの部署なんで、申請届けに来たんです」
「公安案件ってことは、大掛かりな事件じゃんね。また零ちゃん忙しくなりそー」
「萩先輩私にも忙しくなりそーって言って。忙しくなるから」
私の頭を撫でながら忙しくなりそーだねぇってにこにこ笑う萩先輩は、私の知り合いの中で貴重な善人だ。まぁ少し女たらしであり、私も性別上女に含まれているからっていうのもあるとは思うけども。
それを差し引いたとしても、あの松田さんの幼馴染でしょ? 善人じゃなきゃやってけないって。
「なんかお前今余計な事考えただろ」
「あいたたたたそういうところォ!」
松田さんは大きな手を惜しげなく使って私の頭蓋骨を鷲掴みにしては、ぐぐぐ、と力をこめてきた。メキメシと骨の軋む音が脳内に響き渡るのを聞きながら、つい昨日降谷さんにも同じことされたなって思い出す。この二人つくづく似た者同士なのだ。
「……あれが?」
「そうそう」
ふと耳に入ってきた高い声に、痛みで呻きながら視線を投げる。私たちが立っている廊下の端、自動販売機が設置されているエリアから、二人の府警さんが私を見てヒソヒソと話してるようだ。
私の視線を受けても、特に気にせず二人は話し続ける。会話の中から「コネ採用」「裏口」「親の七光り」という単語が聞き取れる。
「お前、相変わらず親の七光りって言われてんのか。難儀だねぇ」
私の耳に届いたってことは、当然二人にも聞こえてるわけで。
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始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - おかきさん» 更新が本当にゆっくりで申し訳ないですが、そのように言っていただいて嬉しいです!今後もゆっくり確実に更新していきますので、思い出したときに見ていただけると幸いです! (3月21日 1時) (レス) id: 5d704cea99 (このIDを非表示/違反報告)
おかき(プロフ) - 続きが気になる、!続きを楽しみに待ってます!! (11月29日 22時) (レス) @page35 id: 3161f0695a (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - りんごポップコーンさん» ありがとうございます!資格試験が片付いたのでまた書き始めます!遅くなり申し訳ないですが、またいつか読みに来てくださるととてもうれしいです…! (7月10日 22時) (レス) id: 5d704cea99 (このIDを非表示/違反報告)
りんごポップコーン - 続きが気になります!良ければ、また書いてくださらないでしょうか…? (2023年1月22日 8時) (レス) @page31 id: 56aae56e91 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:∧∧ネコミミ∧∧ | 作者ホームページ:
作成日時:2022年6月24日 21時