File 1-B. 人柄 ページ3
降谷さんが風見さんを連れて一瞬離席し、一変して安全地帯へと変わった企画課室。
私は先程までめくっていたバインダーをパタンと閉じた。こっちの情報はもう調書にまとめ終わっている。次はどのバインダーだ、と指を走らせていれば、私の手元に影がかかる。同僚AとBが私のデスクまで来て、声をかけてきたのだ。
「登庁? 登る? 何で? きしょ」
「話を聞け! お前悪ガキみたいに降谷さんに絡むのやめろよ……」
しっかりと怒られて、私はぷくりと頬を膨らませる。後ろで同僚の片割れが「5歳児か……?」と小さく囁いたのを聞き逃さない。27歳児だわ。
「だって、ハッキングできるって言われたから喜んで公安に入ったのに、なんもできてないんですもん。毎日資料整理! 報告書作成! 調査! RX-7の修理! 請求書! で飽きました」
たまにネットに潜る機会があったとしても、軽い調査で終わる。達成感が一切ないのだ、この仕事をしていても。
降谷さん風見さんみたいに表立って事件を解決するわけでもないし、現場も出ず事務作業だ。事件解決の一助にはなるだろうが、これで達成感を覚えろと言われる方が無理である。
「それで降谷さんに八つ当たりかよ」
「違います遊んであげてるんです」
「バッ……お前ら!」
ふふんと胸元に手をあててドヤ顔で胸を張って答えていると、同僚の片割れが青ざめた顔で私に手を伸ばす。黙らせようと私の口を塞ぐ前に、後ろから伸びてきた褐色の手が顔を鷲掴む。
理解できず目を見開いていると、とんでもない力が急に籠められて、みしりと顔面骨が軋んだ。
「ふぃっだだだだだだだ!!」
「ホォー……知らなかったな。遊んでもらっていたのか」
「ひっ、ふ、降谷さん……!」
青ざめた顔の同僚は、私のすぐ背後に立ち私の顔面をすごい力で掴んでいる男の名を呼ぶ。畜生いつ帰ってきたんだ。気配ぐらい出せよ。
「ったく、お前らまで何遊んでるんだ! 早く仕事に戻れ!」
「は、はいぃ!」
風見さんの叱咤に、弾かれたように同僚たちは自分の席に戻り作業に取り掛かった。バサバサと積みあがった資料たちがその衝動に耐え切れず地面に落ちていく音がする。
その音をかき消すくらいの勢いでミシミシと私の骨は軋んでいるわけだが。
「そうだ、夢路。少し前から活発になっている組織の動きについて、気になることがあってな」
「……まひゃか」
「12年前の宗教団体と繋がりがある気がするんだ。調査してみてくれないか?」
今夜は家に帰れないっぽい。
221人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - おかきさん» 更新が本当にゆっくりで申し訳ないですが、そのように言っていただいて嬉しいです!今後もゆっくり確実に更新していきますので、思い出したときに見ていただけると幸いです! (3月21日 1時) (レス) id: 5d704cea99 (このIDを非表示/違反報告)
おかき(プロフ) - 続きが気になる、!続きを楽しみに待ってます!! (11月29日 22時) (レス) @page35 id: 3161f0695a (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - りんごポップコーンさん» ありがとうございます!資格試験が片付いたのでまた書き始めます!遅くなり申し訳ないですが、またいつか読みに来てくださるととてもうれしいです…! (7月10日 22時) (レス) id: 5d704cea99 (このIDを非表示/違反報告)
りんごポップコーン - 続きが気になります!良ければ、また書いてくださらないでしょうか…? (2023年1月22日 8時) (レス) @page31 id: 56aae56e91 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:∧∧ネコミミ∧∧ | 作者ホームページ:
作成日時:2022年6月24日 21時